2023年05月17日
別府アルゲリッチ音楽祭2023
第23回別府アルゲリッチ音楽祭が2月25日に開幕し、7月17日まで全14公演が予定されている。
昨夜は東京オペラシティコンサートホールにおいて、別府アルゲリッチ音楽祭・水戸室内管弦楽団共同制作の「室内オーケストラ・コンサート」が行われた。
プログラムはプロコフィエフの交響曲第1番「古典的」、ストラヴィンスキーの組曲「プルチネッラ」、コダーイの「ガランタ舞曲」、ラヴェルのピアノ協奏曲ト長調である。
指揮はベネズエラのエル・システマ出身のディエゴ・マテウス、オーケストラは名手が勢ぞろいしている水戸室内管弦楽団、そしてラヴェルのコンチェルトのソリストはマルタ・アルゲリッチ。
ディエゴ・マテウスは38歳。オペラとシンフォニーの両面で活躍。現在はヨーロッパとアメリカのさまざまな音楽祭やオペラハウスに招かれて活動している、勢いのある指揮者である。
水戸室内管弦楽団は通常は指揮者を置かないアンサンブルに定評があるが、今回はマテウスとともに底力を発揮した。
この夜は、アルゲリッチのラヴェルに期待する聴衆でホールは満杯。出だしからアルゲリッチならではの凛とした鋭角なリズムと、クリアに主題を浮き彫りにする奏法に耳が奪われる。ラヴェルの馨しきエスプリに富んだ作風は、アルゲリッチの生き生きとした高貴なピアニズムでそのすばらしさが描き出され、一瞬たりとも耳が離せない。
鳴りやまぬ拍手喝采に応え、アンコールに再びラヴェルのコンチェルトの第3楽章を披露し、ほとんど総立ちの聴衆を歓びの笑顔へといざなった。
別府アルゲリッチ音楽祭は、5月19日(チョン・キョンファが出演)から7月17日まで続く。
ようやくマスクをしながらではあるものの、「ブラボー!」の声も戻ってきた。うれしい限りである。
今日の写真は、音楽祭のプログラムの表紙。
posted by 伊熊よし子 at 17:14
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