2022年07月16日
山根弥生子
1953年にパリ国立音楽院を卒業し、国内外で活躍してきたベテランのピアニスト、山根弥生子が、J.S.バッハの「平均律クラヴィア曲集第1巻&第2巻」を録音した(コジマ録音)。
先日、ご自宅を訪ね、そのレコーディングにまつわる話、チューリッヒ、ベルリン、モスクワで勉強していた時代の話、偉大な音楽家のナマの演奏に触れた話、子ども時代からのピアノに関することなど、多岐に渡る興味深い話を聞いた。
山根弥生子が留学していた時代は、まさにクラシックの黄金期ともいうべきすばらしい音楽家が活躍していた時代。
その話が始まると、時間がいくらあっても足りないほどさまざまなアーティストの話題が飛び出し、歴史のひとこまを垣間見る思いがした。
こういう話は非常に貴重で、なんとか形に残したいと思う。だが、雑誌などのインタビューではなかなかページが割けず、大切な内容はいつのまにか消え去ってしまう。
今回の新譜「平均律」はテンポが特有で、彼女ならではのこだわりがあり、かなり速い。そしてひとつひとつの音が実に美しく深々として、心に染み込んでくる。
このCDはハッピーなときではなく、ストレスがたまったり、深く落ち込んだり、どうにも出口が見つからないほど悩んだりしているときに聴くと、涙が止まらないほどの感動を呼び覚ましてくれる。
このインタビューは、次号の「ぶらあぼ」に書く予定になっている。
今日の写真は、新譜のジャケット写真。
「いま弾かなくて、いつ弾くのよと思い、録音に踏み切ったの」と話していたが、レコーディングは大変だったそうだ。
健康に十分に気をつけて、まだまだ活躍してほしい。対面のインタビューで、大きな力と勇気と前向きな気持ちをいただいた。
posted by 伊熊よし子 at 17:13
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