2021年07月08日
舘野泉
舘野泉は、毎年7月初旬から9月ころまでフィンランドの森と湖に囲まれた別荘で過ごす。
そのため、6月末に急きょご自宅に伺い、インタビューを行った。
4月には彼が愛してやまないフランスの作曲家、デオダ・ド・セヴラックのことを聞くためにインタビューしたばかりだが(日経新聞)、今回は10月22日に東京文化会館小ホールで開催されるピアノ・リサイタルについて話を聞いた。
これは「彼のための音楽を彼が弾く」と題され、吉松隆、カレヴィ・アホ、林光、平野一郎の作品がプログラムに組まれている。
すべて舘野泉の委嘱作品で、特に最後を飾る平野一郎の「鬼の生活〜左手のピアノで綴る野帳」が長大で演奏至難な作品となっている。
その楽譜を見せていただいたが、「これを左手だけで演奏するの?」と、私は驚きを隠せなかった。
音符はものすごく多く、難解で、すさまじい速さを要求されている箇所もあり、すべてが新曲ゆえ参考にするものもない。
「ものすごく難しいんですよ。平野さんが乗りに乗って急ピッチで仕上げてくれたんですが、演奏するのは大変です。これからフィンランドに戻って別荘にこもり、ひたすら練習します」
舘野さんはこういいながらも、とても楽しそうだった。
今回のプログラムはすべての作品が個性的で、全編に「静寂・えもいわれぬ静けさ」が宿っているという。
このインタビューは「音楽の友」に書く予定になっている。
今日の写真は、作品に関してひとつずつていねいに説明してくれる舘野さん。リサイタルが待ち遠しい。
posted by 伊熊よし子 at 22:46
| 情報・特急便