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下野竜也

  最近は、「音楽の友」3月号のピアニスト特集の取材やインタビューで、日々あちこちに出かけている。
  もちろん、マスクや手の消毒など最大限の注意をし、インタビュー中もみんなで気を遣っている。
  今日は、久しぶりに「マリアージュなこの1本」の取材で銀座のBARに出向いた。今回のゲストは指揮者の下野竜也で、ホッピービバレッジ社長の石渡美奈さんとの対談形式で取材を進めた。
  スタッフの計らいで、お店の扉を全開にして換気を行ったためかなり寒かったが、入口で石油ストーブをつけてくれた。
  本当に、いまは取材を行うのにも、さまざまな工夫が必要である。
  下野さんと石渡さんの話は大変面白く、話題があちこちに広がり、内容の濃い対談となった。
  こういう場合は、私がひとりひとりに質問を振り、あとで対談形式に記事をまとめるという形である。
  でも、また緊急事態宣言などの影響もあり、このシリーズも続けられるかどうか定かではない。その場合は、再び「番外編」として私の「名曲レシピはお好き?」の登場となる。
  今日の写真は、取材中のワンショット。左からbar kamoのオーナー嘉茂さん、石渡さん、下野さん。

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posted by 伊熊よし子 at 21:55 | 日々つづれ織り

務川慧悟

  2019年、パリで開催されたロン=ティボー=クレスパン国際コンクールで第2位入賞に輝き、現在もパリで研鑽を積んでいるピアニストの務川慧悟は、個性あふれるピアニズムの持ち主である。
  昨年はコンクールのガラコンサートと、リサイタルを聴いたが、いずれも心に深い印象を残す演奏だった。
  そんな彼に、「音楽の友」3月号のインタビューを行った。
  コンクール時の様子、なぜ本選でサン=サーンスのコンチェルトを選んだのか、ラヴェルのピアノ作品全曲演奏について、留学先にフランスを選んだ理由、いまもっとも興味を抱いていることなど、さまざまなことを聞いた。
  務川慧悟の演奏は直球型で、自分の目指している音楽をひたすら追求していくもので、作品の内奥に鋭く入り込んでいくスタイルだが、素顔の彼はちょっとシャイ。ひとつひとつの質問に、間を置いて恥ずかしそうに答える。
  その演奏とのギャップがなんとも面白い。こういう人にどんどんしゃべってもらうのが、私のインタビューのスタイル。
  次々にいろんな角度から質問を行い、その結果、非常に多岐に渡る濃い内容の答えを引き出すことができた。
  記事は、そんな彼のあらゆる面が存分に現れるようなものにしたいと思っている。
  今日の写真は、インタビュー後のワンショット。これからも機会があるごとに聴いていきたいと思わせる、引力の強いピアニストである。

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posted by 伊熊よし子 at 22:55 | クラシックを愛す

ジュスタン・テイラー

 チェンバロ好きの私が、今夜は真にすばらしい才能に触れたため、いまはあったかい気持ちでいっぱいである。
 フランスの若手チェンバリスト、ジュスタン・テイラーは、2015年に23歳の若さでブルージュ国際古楽コンクール・チェンバロ部門で優勝し、17年にもロワール国際古楽コンクールの覇者となっている。
  ジュスタン・テイラーは、コロナ禍で昨年の公演が延期していたが、ようやく今年の1月に開催の運びとなった。彼は12月21日にフランスを出発して来日し、隔離期間を経て日本デビュー公演にこぎつけた。
  今日は王子ホールでJ.S.バッハ「ゴルトベルク変奏曲」の演奏が行われたわけだが、これがもうすこぶる上質で躍動感に満ちたみずみずしい演奏。これまでチェンバロやピアノで数えきれないほど「ゴルトベルク変奏曲」を聴いてきたが、そのどれとも異なる生き生きとした個性的な演奏で、深い感銘を受けた。
  とりわけ2段チェンバロの上下の鍵盤の使い分け、リュートストップの使用法が考えられており、さらに装飾音の取り入れ方が絶妙。すべてが自然で、流れる水のごとし。
  もっとも心に響いたのは最後のアリア。いつもこのアリアが現れると、「ああ、これで長い旅が終わる」と思い、さらに旅は続くという感覚にとらわれるのだが、テイラーのアリアは、まったく様相が異なっていた。
  彼は繰り返しの部分を上の鍵盤で奏で、まったく装飾音を入れず、素のままの音楽で勝負したのである。
  やがて上下の鍵盤で装飾音が登場したが、そのコントラストの見事さ。あまりにも美しく上質な響きで、終わるまでドキドキしてしまった。
  この公演評は、「公明新聞」に書く予定である。
  今日の写真は、プログラムの表紙。すぐにまた来日してほしいと、強く願わずにはいられない。

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posted by 伊熊よし子 at 22:46 | アーティスト・クローズアップ
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