2020年12月09日
コンサートが増えている
12月に入り、コンサートの数が徐々にではあるが、増えている。
先週は横山幸雄のベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴きに行ったが、7日は五嶋龍(ヴァイオリン)と鈴木隆太郎(ピアノ)のリサイタルがサントリホールで行われ、これはほぼ満席の状態だった。
プログラムはドビュッシーのヴァイオリン・ソナタやブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番などが組まれていたが、開演前にアナウンスがあり、曲目がプラスされた。
サラサーテの「イントロダクション&タランテラ」とエルンストの「夏の名残のバラ」だったが、五嶋龍はこれらの演奏を「コロナ禍における医療従事者に捧げる」と発表した。
彼はずっとアメリカで生活しているから、こうした方法がごく自然にできる。
五嶋龍の取材やインタビューは彼が10歳のころから続けているため、「大人になったなあ」と感じた。
彼は終演後も、「今日で全国ツアーは終わりですが、こういう時期ですから、より心を込めて弾きました」とあいさつした。
このコンサートレビューは「音楽の友」に書く予定になっている。
次いで、8日は以前「音楽の友」でインタビューした、ピアノの高雄有希のリサイタルを聴きに東京文化会館小ホールに出かけた。
こちらは、かなり客席のディスタンスがとられた形で、ゆったりと聴くことができた。
プログラムは、高雄有希のこれまでの歩みを映し出す作品が組まれ、前半がブラームス、後半がラヴェル「ラ・ヴァルス」、プロコフィエフ「悪魔的暗示」、ストラヴィンスキー=アゴスティ―ニ「火の鳥」より3つの楽章。
このリサイタルはプログラムにも原稿を寄せたが、高雄有希の多角的な面が表現されたもので、とりわけ「ラ・ヴァルス」が印象に残った。
このようにナマの演奏を聴く機会が増え、うれしい限りだが、やはり人が大勢集まる場所に行くのは、一抹の不安がつきまとう。いつになったら、安心してコンサートホールに足を運べるようになるのだろうか。
posted by 伊熊よし子 at 23:01
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