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横山幸雄

  12月5日と6日は、横山幸雄の「ベートーヴェン  ピアノ・ソナタ全32曲連続演奏会」(東京文化会館大ホール)が開催される日である。
  今夏、横山幸雄にその趣旨を聞くインタビューを行い、その全文をジャパン・アーツのHPで紹介している。
  私が今回もっとも注目しているのは、初期のピアノ・ソナタである。
  中期や後期のソナタは、標題の付いている作品をはじめ、人気の高い作品が多い。
  しかし、初期のソナタはあまり演奏される機会に恵まれないものも多く、今回は第1日目の前半にこうした作品が登場する。
  そこで、今日は13時開演の第1部から聴きに出かけた。
  横山幸雄は演奏前に、今回の全曲演奏を決意したいきさつや、自身の意気込みなどのトークを行い、「ぼく自身、初めての試みなので、本当に最後までやれるのかわかりません」といって、会場の笑いを誘っていた。
  そして始まってみれば、いつもの横山幸雄の肩の力が抜けた自然体の演奏が滔々と流れ、1曲ずつていねいに弾き込んでいくスタイルに変わりはない。
  やはり初期のソナタをこうして順番に聴くと、ベートーヴェンの若き時代の冒険心や探求心などが随所に見え、非常に興味深い。まさにこれが全曲演奏の意義であり、醍醐味である。
  私はピアノ・ソナタ第2番の第4楽章をこよなく愛している。アルペッジョの上昇に導かれていく晴朗な主題は、光に向かって飛翔していくようで、ベートーヴェンの厳格で緻密な構成を特徴とするソナタのなかで、とりわけ輝きを放っているように感じられる。
  この公演レビューは、「音楽の友」に書く予定である。
  今日は第1部が13:00に開始し、第5部が19:30に始まった。明日は11:00に第6部が開始され、第11部が17:00に始まる。
  彼はすべて暗譜、ゆるぎない自信に満ちたそのベートーヴェンは、明日の最後まで延々と続くことになる。

posted by 伊熊よし子 at 20:57 | クラシックを愛す
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