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三浦謙司

  コロナ禍で延期になっていたロン・ティボー・クレスパン国際音楽コンクールのガラ・コンサートが9月7日に開催された(Bunkamura オーチャードホール)。
  2019年度は、ピアノ部門で日本人の三浦謙司が優勝の栄冠に輝き、務川慧悟が第2位入賞を獲得。コンクール史上初の日本人による第1位、第2位独占という快挙を成し遂げた。
  当日のコンサートは、コンクールで演奏した2曲のコンチェルト、サン=サーンスのピアノ協奏曲第5番(務川)、ショパンのピアノ協奏曲第2番(三浦)が奏され、次いでふたりによるモーツァルトの2台によるピアノのための協奏曲K.365が演奏された(広上淳一指揮、新日本フィル)
  務川慧悟の演奏は生き生きとした躍動感に満ち、前進するエネルギーに満ちている。緩急の表情にも創意工夫が感じられ、オーケストラとのコミュニケーションも密度が濃い。初めてナマの演奏に触れたが、聴き手を惹きつける魅力にあふれているため、ぜひリサイタルをじっくり聴いてみたいという気持ちに駆られた。
  三浦謙司のショパンは非常に端正で落ち着いた、自然体の演奏だった。気負いや気取りがいっさいなく、作品の内奥にひたすら迫っていく奏法で、ひとつひとつの音がていねいに紡ぎ出されていく。
  ふたりによるモーツァルトは、ソリストの個性の違いが立体的なデュオを作り出し、モーツァルトが意図した2台のピアノがオーケストラとともに一体となるという面を披露した。
  この公演評は、「公明新聞」に書く予定にしている。
  若きふたりのピアニストは、今後さらなる研鑽を積んで大きくはばたいていくのだろうが、ピアノ界に新風を巻き起こす存在になってほしいと願う。
  その翌日、三浦謙司にインタビューする機会に恵まれた。演奏の落ち着きと安定感とは裏腹に、かなりハードな人生を送ってきた人で、13歳で単身ロンドンに渡り、いまはベルリンで勉強を続けている。
「海外で演奏する場をもっと広げたい。ずっとヨーロッパで暮らして行きたい。将来は音楽大学の教授になって、欧米人の生徒に教える日本人となりたい」と、骨っぽい発言が印象的だった。
  人生に対して非常に真摯に考え、現実と向き合い、自分の存在を常に問いただし、音楽家としての道を模索している彼は、若手ピアニストとしては珍しいタイプ。一時期、音楽を離れて日本に帰国し、一般的な仕事や肉体的にきついアルバイトをこなし、自身を見つめ直したそうだ。
  2021年度にはワーナーからデビューCDがリリースされる予定で、いま選曲を練っている最中だという。このインタビューは、録音のリリースが決まった時点で「intoxicate」に書くことになっている。
  今日の写真は、インタビュー後の三浦謙司のワンショット。

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posted by 伊熊よし子 at 14:57 | アーティスト・クローズアップ
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