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ベートーヴェンゆかりの家 1

  今年はベートーヴェン生誕250年のメモリアルイヤー。これを記念して国内外の多くのアーティストがベートーヴェンの作品をプログラムに組んだコンサートを予定していたが、いまはほとんどそれが行われていない。
  そこで、以前ヤマハのWEB「音楽ジャーナリストの眼」に書いた「ベートーヴェンゆかりの家」をプレーバックしたいと思う。少しでもベートーヴェンに近づいていただけたら幸いである。
  まず、交響曲第3番「英雄」を書いたといわれる「エロイカハウス」から(Doblinger Hauptstrabe92、1190Wien)。ここは現在、博物館となっており、見学可能である。ただし、2週間前までに電話で申し込むことが必要(tel +43 1 369 14 24)。
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  ベートーヴェンは1803年ここに移り、「英雄」とピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」、ピアノ・ソナタ第23番「熱情」を作曲した。ウィーン市内の北方に位置するこの家は、当時ぶどう畑や牧草地が広がり、湯治場としての要素も備え、ベートーヴェンが愛する緑豊かな土地だった。
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  交響曲第3番「英雄」は、ハイドンやモーツァルトの影響から脱し、ベートーヴェン独自のスタイルを確立した交響曲で、従来このジャンルに見られなかった壮大なスケールと自由な楽想が特徴となっている。ベートーヴェンの交響曲でホルンが3本になったのはこの曲からで、特に第3楽章はベートーヴェンが書いたスケルツォ(3拍子の快活な曲)の最高傑作といわれ、中間部におけるホルン三重奏の野趣あふれる響きが印象的だ。
  これは有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いた直後の1804年に完成され、翌年の初演は作曲者の指揮によって行われている。 ベートーヴェンは耳が聴こえないという苦悩を吐き出した後、再び生きる勇気をもち、以前にも増して創造力を充実させていく。
   当初、楽譜の表紙には「ボナパルト」の文字が書かれ、革命の英雄ナポレオンに捧げられるはずだったが、権力を手に入れた彼に失望し、「ひとりの英雄のために」と書き換えられた。革命の寵児として登場したナポレオンがフランス皇帝として戴冠したという知らせを聞いたベートーヴェンは、その場で表紙を切り裂き、「彼もふつうの人間だった。多くの人権を踏みにじる独裁者になるだろう」と叫んだと弟子のリースは伝えている。
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  第1楽章から勝利を謳歌する力強い曲想がみなぎり、有名な第2楽章の「葬送行進曲」に続く。そして疾風のような第3楽章へと進み、息詰まるようなクライマックスを築く。
  この「エロイカハウス」にはベートーヴェンの遺品の数々が展示され、特に「英雄」の楽譜の「ボナパルト」の文字を荒々しく消した表紙が強い印象をもたらす。
  現在は、ヘッドホンでヘルベルト・フォン・カラヤンをはじめ名盤と称される録音を聴くこともでき、リアリティをもって「英雄」と対峙できる。
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posted by 伊熊よし子 at 20:59 | 麗しき旅の記憶

マリアム・バタシヴィリ

 いまは自宅で過ごす人が多いと思うが、ジョージア出身の若手ピアニスト、マリアム・バタシヴィリがそんな人たちに向けて動画で演奏を届けてくれた。
  彼女には以前インタビューしたことがあり、そのときの模様とともにこの動画をヤマハのWEB「音遊人」に綴った。

https://jp.yamaha.com/sp/myujin/34209.html


 ぜひ、見てくださいね。

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posted by 伊熊よし子 at 21:17 | 情報・特急便

うどのきんぴら

  現在は雑誌や新聞などの記事で、対面のインタビューや取材などはすべて自粛という形がとられている。
  そのなかで自分に何ができるかと模索している最中だが、いつも公演評を書いている「公明新聞」から、これまで聴いてきたコンサートのなかで「心に残る名演奏」を書いてほしいという依頼があった。
  いまはコンサートの中止や延期が多いため、公演評が書けないからである。
  もちろん、長年に渡って国内外の多くの音楽家の演奏を聴いてきたわけだが、いまはコンサートを行うことができない日本の演奏家にエールを送る意味もあり、国内のアーティストの演奏について書くことになった。
  もうひとつ、「音楽の友」で連載している「マリアージュなこの1本」も、しばらく取材ができないこともあり、代案として、音楽とお料理を結び付けたページを担当することになった。
  これは、「あんさんぶる」に連載しているような「アーティストレシピ」ではなく、ある曲からイメージしてレシピを考案するという新しい企画である。
  これまで曲からイメージをしてレシピを考えるということはしてこなかったため、これは新たな挑戦である。
  今年はベートーヴェン・イヤーだから、まず第1回はベートーヴェンの曲でいきたいと思う。いまは時間がたっぷりあるため、レシピをあれこれ考えることもできる。
  そこで短時間でさっと買い物に出かけ、何かアイデアを練ろうと思ったところ、八百屋さんでみずみずしい山うどを見つけた。これは雑誌のレシピとは関係なく、季節のおつまみとして、「うどのきんぴら」を作ってみた。
  よく、うどは皮が香りが高くておいしいので、皮のままきんぴらにするという人が多いが、私はあのざらざらした口あたりが苦手なため、ピーラーで皮をむいて千切りにする。
   それを酢水に放してさっとアクを抜き、水気を拭いてごま油で炒め、しょうゆ、みりん、酒少々で味付け。仕上げに煎り白ごまとゆず七味を振って、出来上がり。
  今日の写真は、出来立ての「うどのきんぴら」。みずみずしい春の息吹を感じる一品だ。  

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posted by 伊熊よし子 at 17:51 | 美味なるダイアリー
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