2020年02月13日
小林研一郎
指揮者の小林研一郎が、4月9日に80歳のお誕生日を迎える。
これを記念し、4月7日から12日までサントリーホールで5日間に渡り、チャイコフスキーの交響曲全曲チクルスを開催することになった。
日本フィルハーモニー交響楽団との共演で、ピアノ協奏曲第1番(ソロは上原彩子)、ヴァイオリン協奏曲(ソロは神尾真由子)も加わり、「炎のコバケン」が全身全霊を傾けたチャイコフスキーを披露する。
先日、このチクルスの記者会見があり、その内容と抱負、チャイコフスキーに対する思いなどを熱く語った。
その後、個人的なインタビューも行い、さらに詳しくいろんなことを聞くことができた。
コバケンさんには何度も話を聞いており、15年前にはアーネム・フィルとの録音を行うというので現地取材にも出かけた。
「いやあ、もう15年になる? 早いねえ。ついこの間のことだと思ったのに…」
コバケンさんと同様、私もアーネムにひとりで取材に出かけ、前日にはアムステルダムのコンセルトヘボウで演奏を聴き、翌日アーネムに移動して録音を聴いたが、それが15年前とは…。
コバケンさんと話していると、いつのまにか話題がどこか違う方に飛んでいってしまい、そっちの話がとてもおもしろいため、インタビューの本筋からはるかかなたに離れてしまう。
でも、80歳になるとは思えぬほどお元気で、いつもながらの熱い口調だ。
「でもね、私はチャイコフスキーはペシミスティックに演奏したいんです。オーケストラにはそれを要求し、どんなに舞踏のリズムがある箇所もおだやかな旋律も、ペシミスティックにもっていくわけ。チャイコフスキーはそういう作曲家ですから」
彼はオーケストラに非常に丁寧なことばで指示を与え、けっして威圧的な物言いはしない。だが、オケのメンバーによると、「真綿で首を絞められるように、じわじわ要求が迫ってきて、最後はマエストロのいう方向性に完全にもっていかれてしまう」のだそうだ。
このインタビューは、「東京新聞」の連載コラムに書く予定になっている。
今日の写真は記者会見のときと、数日後にインタビューをしたときのもの。
posted by 伊熊よし子 at 22:16
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