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国際音楽祭NIPPON2020

  ヴァイオリニストの諏訪内晶子が芸術監督を務める「国際音楽祭NIPPON2020」が始まった。
  今年は2月14日から3月15日まで、室内楽やオーケストラのコンサート、ミュージアム・コンサート、公開マスタークラスなど、さまざまな内容が盛り込まれている。
  昨日は、そのオープニングのコンサート、諏訪内晶子&二コラ・アンゲリッシュのデュオ・リサイタルが東京オペラシティ コンサートホールで行われた。
  今年はベートーヴェン生誕250年のメモリアルイヤーゆえ、ベートーヴェンのプログラムが多く組まれているが、このデュオ・リサイタルもオール・ベートーヴェン・プログラム。
  前半はヴァイオリン・ソナタ第5番「春」と第7番、後半に第9番「クロイツェル」が組まれた。
  諏訪内晶子の使用楽器は、1714年製ストラディヴァリウス「ドルフィン」。昨日の演奏では、この名器がすばらしい音色を響かせ、ホールの隅々まで濃厚で情熱的で雄弁な音が響き渡った。
  とりわけ「クロイツェル」が印象的。諏訪内は終始、自由闊達に自己の音楽を奏でていく。一方、アンゲリッシュは以前から真の名手だと思っているが、諏訪内の美音にピタリと寄り添い、かなり音を抑制してヴァイオリンを引き立て、自己を主張するよりも伴奏者に徹していた。
  ベートーヴェン・イヤーには、これからもっともっと多くのベートーヴェンが登場してくるだろう。
  諏訪内&アンゲリッシュのお互いの呼吸を呑み込んだデュオは、その先駆けとして、ベートーヴェンの作品の偉大さを知らしめた。やはり「クロイツェル」はすごい作品である。ベートーヴェンのさまざまな感情が投影され、それを描き出すふたりの熱き演奏に作品の内奥に引き込まれた。
  今日の写真は、音楽祭のプログラムの表紙。

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posted by 伊熊よし子 at 23:38 | クラシックを愛す

小林研一郎

  指揮者の小林研一郎が、4月9日に80歳のお誕生日を迎える。
  これを記念し、4月7日から12日までサントリーホールで5日間に渡り、チャイコフスキーの交響曲全曲チクルスを開催することになった。
  日本フィルハーモニー交響楽団との共演で、ピアノ協奏曲第1番(ソロは上原彩子)、ヴァイオリン協奏曲(ソロは神尾真由子)も加わり、「炎のコバケン」が全身全霊を傾けたチャイコフスキーを披露する。
  先日、このチクルスの記者会見があり、その内容と抱負、チャイコフスキーに対する思いなどを熱く語った。
  その後、個人的なインタビューも行い、さらに詳しくいろんなことを聞くことができた。
  コバケンさんには何度も話を聞いており、15年前にはアーネム・フィルとの録音を行うというので現地取材にも出かけた。
  「いやあ、もう15年になる?  早いねえ。ついこの間のことだと思ったのに…」
  コバケンさんと同様、私もアーネムにひとりで取材に出かけ、前日にはアムステルダムのコンセルトヘボウで演奏を聴き、翌日アーネムに移動して録音を聴いたが、それが15年前とは…。
  コバケンさんと話していると、いつのまにか話題がどこか違う方に飛んでいってしまい、そっちの話がとてもおもしろいため、インタビューの本筋からはるかかなたに離れてしまう。
  でも、80歳になるとは思えぬほどお元気で、いつもながらの熱い口調だ。
 「でもね、私はチャイコフスキーはペシミスティックに演奏したいんです。オーケストラにはそれを要求し、どんなに舞踏のリズムがある箇所もおだやかな旋律も、ペシミスティックにもっていくわけ。チャイコフスキーはそういう作曲家ですから」
  彼はオーケストラに非常に丁寧なことばで指示を与え、けっして威圧的な物言いはしない。だが、オケのメンバーによると、「真綿で首を絞められるように、じわじわ要求が迫ってきて、最後はマエストロのいう方向性に完全にもっていかれてしまう」のだそうだ。
  このインタビューは、「東京新聞」の連載コラムに書く予定になっている。
  今日の写真は記者会見のときと、数日後にインタビューをしたときのもの。

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posted by 伊熊よし子 at 22:16 | 情報・特急便

イーヴォ・ポゴレリチ

  イーヴォ・ポゴレリチにインタビューするのは、本当に久しぶりである。
  以前は来日のたびに話を聞いていたが、最近は機会がなく、先日久しぶりに会うことができた。
  彼は長年ドイツ・グラモフォンで録音をしていたが、ソニーに移籍し、昨年8月21日にソニー・クラシカルからのデビュー・アルバムをリリースした。
  曲目はラフマニノフのピアノ・ソナタ第2番と、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第22番、第24番という組み合わせである。
  今回のインタビューはその新譜の話を中心に、近況など幅広く聞いた。
  ポゴレリチは、一見すると非常にインタビューしにくいアーティストのように思える。気難しく、どんな質問を好むのか理解しにくいからである。
  しかし、長年に渡って彼に話を聞いてきたため、ごく自然に話に入ることができた。
  このインタビューは、「CDジャーナル」に書く予定にしている。
  ポゴレリチは、あるときからとてもリラックスした雰囲気をただよわせるようになった。もちろん、最初に来日したころはピリピリしていて、あまり雄弁ではなく、インタビューの部屋の空気は張り詰めたものだった。
  ところが、あるときからジョークをいうようになり、よく笑い、こちらの反応を見て話の方向性を幾重にも変えていくようになった。
  今回も、新たな話題が突然飛び出したり、これまで耳にしたことのないような内容を話し出したり、実に興味深いインタビューとなった。そのすべてを記事に反映させたいと思っている。
  なお、2月16日にはサントリーホールでリサイタルが予定されている。
  今日の写真は、インタビュー後のワンショット。この日はとても寒い日で、ポゴレリチはホテルのなかでも真っ赤なニット帽をかぶっていた。さすがに、写真を撮るときは外していたが…。

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posted by 伊熊よし子 at 21:55 | アーティスト・クローズアップ
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