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服部百音

  若手音楽家の演奏をデビュー当時から聴き続けていると、その成長とともに人間性、音楽性がどんどん変化していく様子がわかり、興味深い。
  ヴァイオリニストの服部百音の演奏に初めて接したのは、彼女が11歳のときだった。「天才少女」といわれ、どんな難曲も楽々と自然に弾いてしまうその姿に驚かされたものだが、素顔の彼女はとても真面目でひたむきで、謙虚な性格だった。
  今日は、服部百音のリサイタルが紀尾井ホールで行われ、演奏を聴きに出かけた。
  プログラムは、前半がシマノフスキの「ノクターンとタランテラ 作品28」、R.シュトラウスの「ヴァイオリン・ソナタ 作品18」。後半がシマノフスキの「アレトゥーザの泉」、ショーソンの「詩曲」、クライスラーの「ウィーン奇想曲」、そして最後はラヴェルの「ツィガーヌ」という構成である。
  服部百音の演奏は、いつ聴いても作品の内奥に一途に迫っていく姿勢が印象的だが、今回はそれに加えて音自体が以前より太く深くどっしりとした感じになり、大きな成長を示した。
  とりわけショーソンの「詩曲」が美しく詩的で生命力にあふれ、内なる情熱を秘めた旋律がみずみずしく奏でられた。
  共演者は、ヴァイオリニストとのデュオといえばこの人、ヴァイオリン作品を知り尽くしている江口玲である。
  今日の写真は、終演後の服部百音と江口玲。やはりひとりの奏者を聴き続けてくると、その成長がひしひしと感じられ、感慨深い。今後もずっと聴き続けていきたい。きっとまた、近いうちに大きな変貌を遂げるに違いない。

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posted by 伊熊よし子 at 23:51 | クラシックを愛す

ベルリン・フィル

  今秋は、名門オーケストラの来日公演が相次いで行われている。
  セミヨン・ビシュコフ指揮チェコ・フィル、ケント・ナガノ指揮ハンブルク・フィル、アンドレイ・ボレイコ指揮ワルシャワ・フィル、トーマス・ダウスゴー指揮BBCスコティッシュ交響楽団、ヤニック・ネゼ=セガン指揮フィラデルフィア管弦楽団、クリスティアン・ティーレマン&アンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮ウィーン・フィル、パーヴォ・ヤルヴィ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、そしてズービン・メータ指揮ベルリン・フィル。
  ベルリン・フィルは昨夜聴きに行ったが、メータとのコンビがすばらしく緊密で、メンバーの力の入った演奏がすさまじいエネルギーを発揮した。
  昨夜は後半から上皇、上皇后両陛下がご臨席で、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」が熱気を帯び、メンバーひとりひとりの集中力と迫力と緊迫感がこちらにも乗り移り、ドラマチックな「英雄」に心身がもえたぎる思いがした。
  ベルリン・フィルは、今夜も明日の夜もサントリーホールで公演があり、ブルックナーの交響曲第8番が演奏される。
  今年の秋は、オーケストラ・ファンにとってとても充実した時期ではないだろうか。
  まだまだ来日ラッシュは続き、オーケストラのみならず器楽、室内楽、合唱なども実力派が名を連ねている。
  そうこうしているうちに、11月が終わってしまう。そうなると、今年もわずか1カ月を残すだけ。
  本当に早いよねえ。12月に入ると会う人ごとにその話題となり、みんながため息をつきながら「早い…」と嘆くことになる(笑)。
posted by 伊熊よし子 at 18:06 | クラシックを愛す

コンスタンチン・リフシッツ

  ロシア出身の実力派ピアニスト、コンスタンチン・リフシッツは、近年、樫本大進と組んだベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏ですばらしい演奏を披露したことで知られる。
  その彼が2020年のベートーヴェン生誕250年のメモリアルイヤーに、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全32曲を首都圏8会場で演奏するというシリーズを行うことになった。
  すでに、フランスのアルファレーベルに全曲録音を行っているという。
  題して「ベートーヴェンへの旅」。
  先日、その記者会見があり、詳細が発表された。
  4月25日(よこすか芸術劇場)、26日(神奈川県立音楽堂)、29日(フィリアホール)、5月2日(狛江エコルマホール)、3日(武蔵野市民文化会館小ホール)、4日(東京文化会館小ホール)、6日(所沢ミューズアークホール)、8日(ウェスタ川越大ホールという予定が組まれている。
  各ホールとも、異なるソナタが3〜5曲組まれ、それぞれがバランスよく配置されている。
  そのシリーズが行われることになった理由、プログラムの経緯、各々のホールとの連携、ソナタの配分などが発表され、リフシッツの演奏(ソナタ第20番第1,第2楽章)後に、彼自身の話も紹介された。
  リフシッツは、「ベートーヴェンは人の心から心へとつなげることができる作曲家で、ピアノ・ソナタは宗教的に愛されている作品。今回の全曲演奏の旅では何かが起き、聴き手とともに違った世界へと旅することができると思う」と語った。
  記者会見後、マスターインタビュー(代表インタビュー)をすることになり、リフシッツと久しぶりの再会を喜び合った。
  このインタビューでは、主として作品論が中心となり、リフシッツが語る各ソナタの解釈がとても面白かった。
  原稿は、ホールの冊子、情報誌などをはじめ、さまざまな媒体に書き分けすることになりそうだ。
  今日の写真は、ベートーヴェンのシリーズについて話すリフシッツ。彼の話は、とても哲学的で、思慮深く、内容が濃い。
  インタビューで、私が作品に関して質問すると、「きみのその質問に答えるためには、1曲のソナタで約1日かかる。だから、32日かかっちゃうよ」といって笑っていた。

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posted by 伊熊よし子 at 23:11 | 情報・特急便
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