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アレクサンドル・タロー

  フランスの個性派ピアニスト、アレクサンドル・タローは、ラモーやクープランなどのチェンバロ音楽をピアノで演奏し、センセーションを巻き起こした人である。
  毎回、新譜をリリースするごとに新たな世界を展開し、聴き手に驚きや発見を促してきた。
  今回の新譜は、「ヴェルサイユ」(ワーナー)。17〜18世紀のフランス音楽を取り上げたもので、ラモー、クープランはもちろん、ロワイエ、ダングルベール、デュフリなどが含まれている。
  来日のたびに話を聞いているが、今回も新譜について、近況についてインタビューするため、レコード会社に出向いた。
  タローは、いつも録音に関しての話は半分ほど。あとは自分が興味をもっていること、新たに始めたこと、最近凝っていること、それから食談義などになってしまう。
  それも実に楽しい時間だ。
  彼は東京にくると、「待ってました」とばかりにおいしい和食のお店に飛んでいくという。
  今回は親友のチェリスト、ジャン=ギアン・ケラスと一緒に来日したため、ふたりであちこち食べ歩いているそうだ。
「日本はすばらしいよね。もうパリに帰ると、東京で食べた美味なる食事が思い出されて、なつかしくてなつかしくて…」
  なんでも、最近のパリは手放しでおいしいというお店は少なくなり、一生懸命探さないと失敗するとか。
「ねえ、出張にきたら、絶対に失敗したくないでしょう。短時間の滞在でおいしくないものを食べたら、パリの印象が悪くなるし…。パリにくるときは、絶対に電話して。まだまだ隠れた名店はあるんだから」
  まあ、そういわれても、そんなにパリに行く機会もないし…。
  でも、ありがとね。そういえば、最近、パリで印象に残るほどおいしいものを食べた記憶はないなあ。
  タローのリサイタルは、明日トッパンホールで行われる。プログラムはCD「ヴェルサイユ」の収録曲も含まれている。
  今日の写真は、フレンチ・バロックの音楽を楽しそうに話すタロー。このインタビューは、新聞に書く予定である。
  彼はとてもスリムゆえ、日本の洋服のサイズがピッタリだそうで、来日すると行きつけのデパートのお店に駆け付け、何枚か購入するという。今日のセーターも買ったばかり。「いいでしょ、いいでしょ」といっていた。

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posted by 伊熊よし子 at 23:31 | クラシックを愛す

トーマ・プレヴォ

  フランスにはチェロのフランス流派が存在するように、フルートにもフレンチ・スタイルがある。
  1976年にフランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団に入団して以来、長年に渡って首席奏者を務めたトーマ・プレヴォは、そのフランス特有の奏法を受け継いでいるフルーティストである。
  その彼が初のソロCDをリリースした(キングインターナショナル)。
  収録曲は、シューベルトの「しぼめる花」の主題による序奏と変奏曲、シューマンの3つのロマンス、R.シュトラウスのフルート・ソナタ(原曲:ヴァイオリン・ソナタ)の3曲。
  その新譜の話を聞きに、レコード会社まで出かけた。
  トーマ・プレヴォは、10歳からフルートの名手アンドレ・ペパンに師事している。その恩師の話題になると、口調がなめらかになり、話は尽きないといった様子だった。
  フランス流派の話、オーケストラにおける演奏について、歴代の指揮者のこと、初めての録音に取り上げたかった曲目について、幼いころのフルートとの出合いなど、話題は盛りだくさんだった。
  夫人は元フランス国立管弦楽団のヴァイオリニスト、破魔澄子。島根県の「石見銀山マスタークラス」のディレクターを務めている。
  トーマ・プレヴォもマスタークラスのフルートの講師を務めているため、そのマスタークラスの話をじっくり聞いた。
  この石見銀山という場所は、緑豊かな土地で、とてもおだやか。お魚がおいしく、ゆっくり音楽が学べるという。
  今年はようやく5年目を迎え、内容も充実してきたそうで、受講生も増えてきたという。
  ぜひ、機会があれば取材に行きたいと思った。
  今日の写真は、そのおふたり。このインタビューは「intoxicate」に書く予定になっている。

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posted by 伊熊よし子 at 22:57 | アーティスト・クローズアップ

ヴァレリー・アファナシエフ

  ヴァレリー・アファナシエフのリサイタルは、いつも新鮮な驚きに包まれる。
  長年、彼の演奏を聴き続け、インタビューを行い、その音楽性と人間性に触れてきたが、すべてが謎めいている。
  昨日は、紀尾井ホールでリサイタルが行われ、前半はハイドンのピアノ・ソナタ第20番、第44番が演奏された。
  アファナシエフのハイドンは、かなり変わっている。
  健康的で明朗でよどみなく音楽が流れる情感あふれる演奏ではなく、きわめて劇的で深遠で哲学的ですらある。
  後半は、まずアファナシエフが得意とするムソルグスキーの「展覧会の絵」で幕を開けた。
  この作品は、アファナシエフの個性と表現力と解釈が存分に発揮されるもので、冒頭のプロムナードからエネルギー全開。それぞれの絵が、あたかも新たな命が吹き込まれたように立体的な様相を帯びて目の前に現れる。
  まるで、アファナシエフがムソルグスキーその人になったように、彼はハルトマンの絵の詳細を音で説明していく。
  そこでは、ロシア・ピアニズムの原点を見出すことができ、さらにアファナシエフがこよなく愛し、尊敬している恩師のエミール・ギレリスの奏法までをも連想させるものがある。
  不思議な時間が流れた。ピアノを大きく豊かに鳴らしているのに、ふとした瞬間の微妙な間が、とてつもない静寂をはらんでいるのである。
  これが聴き手にたまらないほどの緊張感をもたらす。
  最後は、ラフマニノフの前奏曲作品32−12嬰ト短調、ラフマニノフの作品3より幻想的小品集第2曲前奏曲嬰ハ短調が演奏され、ここでもロシアの鐘を大きく鳴らしているような音色を響かせた。
  アンコールは、ショパンのワルツ嬰ハ短調第7番。このワルツ、ショパン・コンクールで弾いたら、あまりにも個性的でみんなが驚愕するに違いない。これこそ、アファナシエフの個性全開である。
  昨日は午後からインタビューが2本続き、かなり疲れてホールに行ったため、ピアノを聴いてゆっくりしようと思ったが、それどころではない。
  アファナシエフを聴いてリラックスしようと思ったのが、そもそものまちがいだ。
  あまりにも演奏に集中し、緊張していたため、どっぷりと疲れた。もちろん、精神的に充実した疲れである。
  でも、アファナシエフって、魅力あるよねえ。
  実は、4月に出版した「35人の演奏家が語るクラシックの極意」(学研)の単行本だが、編集担当のKさんが、私のHPの「音楽を語ろうよ」のアファナシエフの記事を読んで、「ぜひ、単行本を」といってくれたのである。
  それだけ、彼は人を惹きつけるのだろう。
  昨日の演奏も、ちょっとやそっとで忘れられるものではない。
  今日の写真は、以前インタビューしたときのアファナシエフ。表情がシブいよねえ(笑)。

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  でも、こんな表情を見せてくれたこともあります。

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posted by 伊熊よし子 at 17:58 | マイ・フェイバリット・ピアニスト
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