2019年07月17日
アリス=紗良・オット
世界でもっとも忙しいピアニストといわれ、ソロ、デュオ、コンチェルトと幅広く活躍していたアリス=紗良・オットが、今年2月に自身の公式サイトで「多発性硬化症と診断された」と公表し、世界中のファンを驚かせた。
彼女はその後、治療に専念しながら、コンサートの予定をできる限りキャンセルすることなく、「意欲をもって臨みます」と発表している。
そんなアリスが、7月に日本ツアーを行ったエリアフ・インバル指揮ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団のソリストとして来日した。
私が聴いたのは、7月10日に東京芸術劇場で行われたコンサートで、アリスはモーツァルトのピアノ協奏曲第21番を演奏。前作の第20番とは対照的な明朗性と祝祭的な雰囲気を備えた作品で、全編にシンフォニックで威風堂々たる響きが横溢している。
アリスはオーケストラとの密度濃い音の対話を楽しむように、終始オーケストラと指揮者の方に顔を向けながらテンポを合わせ、実に楽しそうに演奏。まったくふだんと変わらぬ様子を見せた。
終演後、楽屋は彼女の体調を心配する人と関係者であふれ、私もその列のうしろについて、アリスとひとことだけ会話を交わした。
いまは一生懸命治療しながら、体調を整えることに心を砕いているとのこと。「日常生活は大丈夫。ありがとう、頑張ります」と気丈な様子を見せていた。
アリスにはデビュー当時から取材を続け、さまざまな機会にインタビューを行い、いろんな話を聞いてきた。最初から、彼女は本音で話してくれ、そのストレートな語り口が音楽同様の率直さと相まって、大きな魅力のひとつとなっている。
今日の写真は、元気な笑顔を見せるアリス=紗良・オット。陰ながらエールを送り続けたい。アリス、頑張ってね!!!
posted by 伊熊よし子 at 23:12
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