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ベアトリーチェ・ヴェネツィ

  女性が指揮者になるのは、21世紀の現在でも、とても険しい道である。
  しかし、イタリア出身の若手指揮者、ベアトリーチエ・ヴェネツィはその高い壁をホップ・ステップ・ジャンプという形で見事に乗り越え、現在はイタリア・プッチーニ音楽祭首席客演指揮者、エレバン・アルメニア国立交響楽団副指揮者、ナポリ・オーケストラ・スカルラッティ・ヤング首席指揮者を務めている。
  そんなヴェネツィが、7月12日・13日新日本フィルハーモニー交響楽団のルビー〈アフタヌーン・コンサート・シリーズ〉の指揮台に立った。
  プログラムは、ニーノ・ロータの組曲「道」より抜粋、ヒナステラのハープ協奏曲(ソロは吉野直子)、ファリャのバレエ音楽「三角帽子」全曲(ソロはメゾ・ソプラノの池田香織)という構成。
  ヴェネツィはたいていの女性指揮者がパンツスーツで登場するのに対し、ロングドレスで現れ、情熱的で躍動感あふれるタクトさばきを披露した。
  終演後、楽屋でインタビューを行った。
  オフステージでも、おしゃれなコットンのワンピースを着用し、「私は男性指揮者に負けまいと、自分を押し殺すようなことはしないの。あるがままの姿で指揮をしたい。だからドレスを着てステージに立つのよ」といっていた。
  ヴェネツィはプッチーニの生家のあるルッカ出身。私もルッカを訪ねたことがあるため、しばしプッチーニ談義となった。10月にはプッチーニのアルバムでデビューすることが決まっている(ワーナー)。
  彼女にとって、プッチーニはあこがれであり、尊敬の対象であり、彼の音楽は血となり肉となっているようだ。プッチーニの作品について語るとき、ヴェネツィの表情は明るく輝き、目の光が増すからだ。
  もちろん、女性が指揮者になることの難しさも十分に熟知しており、だからこそ頑張らなくてはならないと力を込めて語った。
  このインタビューは、「intoxicate」に書く予定になっている。
  実は、いまイタリアは文化的な予算が大幅に削られていて、クラシック音楽に関しても、オペラもオーケストラも存続が危ぶまれている危機的な状態だという。
「だからこそ、私は自分にできることは何でもやるの。私たちの世代が何とか道を拓いていかないと、ひどい状態になると思うわ。イタリアの音楽の伝統が失われてしまうことになりかねない」
  ヴェネツィは1990年生まれ。まだまだ若い指揮者である。しかし、現状を打破しようという気持ちはだれにも負けない。こういう人は、陰ながら応援したくなる。
  また、新譜がリリースされたときに、改めてその音楽について紹介したい。
  今日の写真は、インタビュー中のワンショット。話すときに顔の表情が幾重にも変化し、まるでオペラ歌手のようだ。

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posted by 伊熊よし子 at 22:53 | アーティスト・クローズアップ

アリス=紗良・オット

  世界でもっとも忙しいピアニストといわれ、ソロ、デュオ、コンチェルトと幅広く活躍していたアリス=紗良・オットが、今年2月に自身の公式サイトで「多発性硬化症と診断された」と公表し、世界中のファンを驚かせた。
  彼女はその後、治療に専念しながら、コンサートの予定をできる限りキャンセルすることなく、「意欲をもって臨みます」と発表している。
  そんなアリスが、7月に日本ツアーを行ったエリアフ・インバル指揮ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団のソリストとして来日した。
  私が聴いたのは、7月10日に東京芸術劇場で行われたコンサートで、アリスはモーツァルトのピアノ協奏曲第21番を演奏。前作の第20番とは対照的な明朗性と祝祭的な雰囲気を備えた作品で、全編にシンフォニックで威風堂々たる響きが横溢している。
  アリスはオーケストラとの密度濃い音の対話を楽しむように、終始オーケストラと指揮者の方に顔を向けながらテンポを合わせ、実に楽しそうに演奏。まったくふだんと変わらぬ様子を見せた。
  終演後、楽屋は彼女の体調を心配する人と関係者であふれ、私もその列のうしろについて、アリスとひとことだけ会話を交わした。
  いまは一生懸命治療しながら、体調を整えることに心を砕いているとのこと。「日常生活は大丈夫。ありがとう、頑張ります」と気丈な様子を見せていた。
  アリスにはデビュー当時から取材を続け、さまざまな機会にインタビューを行い、いろんな話を聞いてきた。最初から、彼女は本音で話してくれ、そのストレートな語り口が音楽同様の率直さと相まって、大きな魅力のひとつとなっている。
  今日の写真は、元気な笑顔を見せるアリス=紗良・オット。陰ながらエールを送り続けたい。アリス、頑張ってね!!!

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posted by 伊熊よし子 at 23:12 | マイ・フェイバリット・ピアニスト

中村太地

  2017年、うれしいニュースが飛び込んできた。
  ヴァイオリニストの中村太地が、ブラームス国際コンクールのヴァイオリン部門で、日本人初の優勝を遂げたのである。
  以来、ずっと中村太地に注目し、ナマの演奏を聴きたい、インタビューをしたいと思い続けてきた。
  先日、ついにその願いが実現。インタビューが行われることになり、彼に会いに出かけた。
  初めて会った印象は、「あれっ、リリースやコンサートのチラシの写真とはだいぶ違うなあ」というもの。
「実は、かなり太っちゃったんですよ。写真を撮ったころは結構やせていましたが、最近は食欲旺盛で、すっかり胃が大きくなっちゃって…」
  印象は異なっていたが、とても感じのいいナイスガイ。「やせなくちゃ」と何度もいっていた。
 でも、悪いことばかりではなく、体重が増えたことにより体力が増し、長時間の演奏が楽になったそうだ。
  中村太地は18歳よりウィーン国立音楽大学で研鑽を続け、現在はエリザベート王妃音楽大学において指揮者&ヴァイオリニストのオーギュスタン・デュメイにも師事している。
  今回は、デビュー・アルバム「ブラームス・ソナタ全集」(ビクター)江口玲(ピアノ)のこと、コンクールに関すること、子ども時代からの音楽とのかかわり方、趣味の野球、ヨーロッパでの生活、デュメイの指導法、今後の歩みなどを聞いた。
  このインタビューは、私のHP「音楽を語ろうよ」に書く予定である。
  やはりブラームスが大好きなようで、ブラームスの話になると一気に口調が熱気を帯びる。9月29日にサントリーホール、10月5日にザ・シンフォニーホールで江口玲とのリサイタルが予定され、そこではJ.S.バッハの「ヴァイオリンとハープシコードのためのソナタ」第4番、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」がプログラムに組まれている。
  今日の写真はインタビュー後のワンショット。愛器の1828年製J.B.ヴィオーム(フランス)とともに。

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posted by 伊熊よし子 at 22:44 | アーティスト・クローズアップ
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