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藤田真央

  先日、チャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で第2位入賞の快挙を成し遂げた藤田真央。この時期は、ライヴストリーミングでずっと演奏を視聴していたが、彼は大きなコンクールの舞台でもとてもリラックスし、いつものように実に楽しそうに演奏していた。
  その後、取材が殺到し、なかなかインタビューなどには応じられないと聞いていたが、ようやくインタビューか可能になった。
  場所は、藤田真央が通っている東京音楽大学の新しい校舎、中目黒・代官山キャンパス。初めて訪れたが、とてもシンプル且つスタイリッシュな建物で、レッスン室なども非常に美しく、母校の発展をうれしく思った。
  藤田真央は、インタビューでも自分のいいたいことはしっかり語り、しかも自然体で、とてもリラックスした様子。このインタビューは、「音楽の友」に掲載される予定である。
  話は、もちろんチャイコフスキー国際コンクールのことから始まり、各ラウンドの課題曲について、モスクワ音楽院のステージで演奏するという名誉について、演奏順のこと、他の参加者たちのこと、審査発表の瞬間に関して、審査員たちからかけられたことばなど、さまざまなことに広がった。
  私は、以前のクララ・ハスキル・コンクール優勝に関しても話を聞きたかったため、それにも触れ、さらにヴェルビエ音楽祭に招待されたときのことも話題にのぼった。
  今後の方向性や豊富なども聞くことができ、楽しい時間はあっというまに過ぎた。
  藤田真央のピアノは何度も聴いているが、いつも聴き手までも楽しくなり、幸せな気分にさせてくれる。モスクワでも、耳の肥えた聴衆から熱い支持を受けた。さらに審査員からも大いなる賞賛のことばをかけられ、勇気を与えられ、自信につながったという。
  彼の前には大海原が広がっている。前途洋々の若きピアニストは、来年からベルリンに留学し、さらなる研鑽を積む。そのピアニズムがどのように変貌を遂げるのか、心がわくわくする思いだ。
  今日の写真は、インタビュー中のワンショット。いつもおだやかな笑顔を見せている。

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posted by 伊熊よし子 at 22:20 | マイ・フェイバリット・ピアニスト

ベアトリーチェ・ヴェネツィ

  女性が指揮者になるのは、21世紀の現在でも、とても険しい道である。
  しかし、イタリア出身の若手指揮者、ベアトリーチエ・ヴェネツィはその高い壁をホップ・ステップ・ジャンプという形で見事に乗り越え、現在はイタリア・プッチーニ音楽祭首席客演指揮者、エレバン・アルメニア国立交響楽団副指揮者、ナポリ・オーケストラ・スカルラッティ・ヤング首席指揮者を務めている。
  そんなヴェネツィが、7月12日・13日新日本フィルハーモニー交響楽団のルビー〈アフタヌーン・コンサート・シリーズ〉の指揮台に立った。
  プログラムは、ニーノ・ロータの組曲「道」より抜粋、ヒナステラのハープ協奏曲(ソロは吉野直子)、ファリャのバレエ音楽「三角帽子」全曲(ソロはメゾ・ソプラノの池田香織)という構成。
  ヴェネツィはたいていの女性指揮者がパンツスーツで登場するのに対し、ロングドレスで現れ、情熱的で躍動感あふれるタクトさばきを披露した。
  終演後、楽屋でインタビューを行った。
  オフステージでも、おしゃれなコットンのワンピースを着用し、「私は男性指揮者に負けまいと、自分を押し殺すようなことはしないの。あるがままの姿で指揮をしたい。だからドレスを着てステージに立つのよ」といっていた。
  ヴェネツィはプッチーニの生家のあるルッカ出身。私もルッカを訪ねたことがあるため、しばしプッチーニ談義となった。10月にはプッチーニのアルバムでデビューすることが決まっている(ワーナー)。
  彼女にとって、プッチーニはあこがれであり、尊敬の対象であり、彼の音楽は血となり肉となっているようだ。プッチーニの作品について語るとき、ヴェネツィの表情は明るく輝き、目の光が増すからだ。
  もちろん、女性が指揮者になることの難しさも十分に熟知しており、だからこそ頑張らなくてはならないと力を込めて語った。
  このインタビューは、「intoxicate」に書く予定になっている。
  実は、いまイタリアは文化的な予算が大幅に削られていて、クラシック音楽に関しても、オペラもオーケストラも存続が危ぶまれている危機的な状態だという。
「だからこそ、私は自分にできることは何でもやるの。私たちの世代が何とか道を拓いていかないと、ひどい状態になると思うわ。イタリアの音楽の伝統が失われてしまうことになりかねない」
  ヴェネツィは1990年生まれ。まだまだ若い指揮者である。しかし、現状を打破しようという気持ちはだれにも負けない。こういう人は、陰ながら応援したくなる。
  また、新譜がリリースされたときに、改めてその音楽について紹介したい。
  今日の写真は、インタビュー中のワンショット。話すときに顔の表情が幾重にも変化し、まるでオペラ歌手のようだ。

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posted by 伊熊よし子 at 22:53 | アーティスト・クローズアップ

アリス=紗良・オット

  世界でもっとも忙しいピアニストといわれ、ソロ、デュオ、コンチェルトと幅広く活躍していたアリス=紗良・オットが、今年2月に自身の公式サイトで「多発性硬化症と診断された」と公表し、世界中のファンを驚かせた。
  彼女はその後、治療に専念しながら、コンサートの予定をできる限りキャンセルすることなく、「意欲をもって臨みます」と発表している。
  そんなアリスが、7月に日本ツアーを行ったエリアフ・インバル指揮ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団のソリストとして来日した。
  私が聴いたのは、7月10日に東京芸術劇場で行われたコンサートで、アリスはモーツァルトのピアノ協奏曲第21番を演奏。前作の第20番とは対照的な明朗性と祝祭的な雰囲気を備えた作品で、全編にシンフォニックで威風堂々たる響きが横溢している。
  アリスはオーケストラとの密度濃い音の対話を楽しむように、終始オーケストラと指揮者の方に顔を向けながらテンポを合わせ、実に楽しそうに演奏。まったくふだんと変わらぬ様子を見せた。
  終演後、楽屋は彼女の体調を心配する人と関係者であふれ、私もその列のうしろについて、アリスとひとことだけ会話を交わした。
  いまは一生懸命治療しながら、体調を整えることに心を砕いているとのこと。「日常生活は大丈夫。ありがとう、頑張ります」と気丈な様子を見せていた。
  アリスにはデビュー当時から取材を続け、さまざまな機会にインタビューを行い、いろんな話を聞いてきた。最初から、彼女は本音で話してくれ、そのストレートな語り口が音楽同様の率直さと相まって、大きな魅力のひとつとなっている。
  今日の写真は、元気な笑顔を見せるアリス=紗良・オット。陰ながらエールを送り続けたい。アリス、頑張ってね!!!

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posted by 伊熊よし子 at 23:12 | マイ・フェイバリット・ピアニスト
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