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ミッシャ・マイスキー チェロ・リサイタル

 5月19日、ミッシャ・マイスキーのチェロ・リサイタルが竹田市総合文化ホール、グランツたけた 廉太郎ホールで開催された。ピアノは長女のリリー・マイスキーである。
 プログラムは、前半がマルチェッロ/バッハ編曲:アダージョ チェンバロ協奏曲BWV974より第2楽章、バッハ:ラルゴ(アリオーソ)チェンバロ協奏曲第5番BWV1056より第2楽章、モーツァルト:パミーナのアリア「愛の喜びは露と消え」(歌劇《魔笛》より)、そしてブラームスのチェロ・ソナタ第2番。
 後半がチャイコフスキーの四季より10月「秋の歌」、同6つの小品より「感傷的なワルツ」、そしてショスタコーヴィチのチェロ・ソナタ ニ短調。
 私が担当したプレトーク(プレセミナー)では、主としてブラームスとショスタコーヴィチの作品について触れ、マイスキーの生い立ちから生き方、音楽の方向性、素顔、エピソードなどを紹介した。
 実は、当日は雨模様で、プレトークを聴きにきてくれるお客さまはそんなに多くないのではないかとスタッフの方たちと話していたのだが、小ホールは開演前にすでに椅子をガンガン増やさなくてはならない状態となり、最終的には100人を超すお客さまがきてくれ、立ち見の人も出てしまった。
 私の持ち時間は40分。いつもの早口でさまざまな角度からマイスキーの音楽を紹介。みなさん、とても熱心に集中して聞いてくれ、終わってからそのままコンサートホールへと移動となった。
 写真は、プレトークの会場。

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 グランツたけたはとても美しい新しいホールで、音響がすばらしかった。最初は1階の中央あたりで聴き、後半は3階に移ったのだが、この階の音響が実に自然でまろやか。マイスキーの哀愁に富んだ歌心あふれる低弦の響きがステージからふわりと立ち上がってきて、そのえもいわれぬ美音に酔いしれた。
 写真は、ホールの外観。緑豊かな広大な敷地に、個性的な建物が映える。

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 ブラームスは、渋く内省的で情熱的な響きが全編を覆い、ショスタコーヴィチはまさにマイスキーの魂の叫びともいうべきヒューマンな演奏だった。
 当日の白眉は、アンコールの第1曲目に演奏された「荒城の月」(滝廉太郎作曲、寺嶋陸也編曲)。リリーのピアノが始まったときは、みんな何の曲だろうと耳を澄ませている感じだったが、チェロの主題が奏でられると、会場中がシーンと静まり返り、1音も逃すまいと集中力と緊迫感がみなぎり、そっと目がしらを押さえている人も多く、廉太郎ホールはまさしく新たな「荒城の月」で満たされていった。
 この「荒城の月」は、多くの人が「生きていてよかった」「死ぬほど感動した」というほどのインパクトの強さ。その後、マイスキーは鳴りやまぬ拍手に応えてサン=サーンスのオペラ「サムソンとデリラ」よりアリア「あなたの声に私の心は開く」、ドビュッシーの前奏曲集第1巻より第12曲「ミンストレル」、クライスラーの「愛の悲しみ」、バルトークの「ルーマニア民俗舞曲」、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」と立て続けに演奏し、リリーとともに竹田の聴衆と一体となった。
 写真は、廉太郎ホール。

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 前日もそうだったが、この日もスタンディングオベーション。マイスキーは楽屋で「竹田のお客さまは、反応がすばらしい。みなさん、とても熱心で温かく、いつまでも弾いていたい気持ちになった」と絶賛。
 この日はプレトークのアンケートでもいい反応をいただき、コンサートは大成功。スタッフとみんなで喜び合った。
 今日の写真は終演後のマイスキーとリリー。彼は長い時間、ホールの外で待っていたファンにもサインをし、スタッフが用意したロビーのラトヴィアのグッズも写真に収めていた。

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posted by 伊熊よし子 at 23:09 | クラシックを愛す
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