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クリスティーヌ・ワレフスカ

 3月23日、オーチャードホールで「クリスティーヌ・ワレフスカ プレミアム・チェロ・リサイタル」が行われた。
 このコンサートに先立ち、公演告知のための原稿を書いたため、それを下記に記したいと思う。

[心奥に響く情熱的で生命力あふれるチェロの調べ]

 なんと躍動感にあふれ、情熱的で生き生きとしたチェロの響きだろうか。チェロは奏者が楽器を慈しむように抱え、心臓の近くで鳴らし、あたかもチェリストと楽器が二人三脚で音楽を紡ぎ出すように一体感に富む演奏を生み出す。ゆえに、「チェロは人間の声にもっとも近い音色を奏でる楽器」と称される。
 かつてクラウディオ・アラウが「世界最高のチェリスト」と呼び、1970年代にはジャクリーヌ・デュ・プレと並び称されたクリスティーヌ・ワレフスカは、チェロで喜怒哀楽の感情を表現し、生命のすばらしさをうたい上げる。その演奏は19世紀の巨匠的な深遠さと存在感を放ち、聴き手の心奥に響いてくる。
 ワレフスカはエニオ・ボロニーニの秘曲の演奏を許された稀有な存在。音楽は一期一会の愉悦のときを生み出す。ワレフスカを聴く―それはチェロを通して彼女の生き方を感じ、作品に肉薄し、音楽のすばらしさに酔うこと。まさに彼女のチェロは魂の歌だから。
 
 当日のプログラムは、前半がクープランの「演奏会用商品」、プロコフィエフのチェロ・ソナタ、後半がボロニーニの「アダージョ」「アヴェ・マリア」、ブラガートの「チャカレーラ」、ピアソラの「アディオス・ノニーノ」「天使の死」「オブビリオン」、ショパンの「序奏と華麗なるポロネーズ」。
 ワレフスカはロサンゼルス生まれ。13最でグレゴル・ピアティゴルスキーに師事し、その後パリでモーリス・マレシャルに師事している。世界各地で演奏活動を展開していたが、結婚後は南アメリカに移り、商業主義に振り回されることを嫌って地道な活動を展開していた。
 それゆえ、なかなか来日公演も実現せず、初来日は1974年。その後、36年のブランクを経て2010年に日本ツアーを行っている。今回は久しぶりの日本公演で、心を許すピアニスト、福原彰美との共演がかなった。
 やはりボロニーニの作品がもっとも印象的で、初めて聴く作品だったが、どこかなつかしく、心の奥に訴えかけるものがあり、もっといろんな作品を聴きたいという思いが募った。
 今日の写真はプログラムの表紙。CDは、「クリスティーヌ・ワレフスカの芸術」と題するアルバムがリリースされている。

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posted by 伊熊よし子 at 22:23 | 日々つづれ織り
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