ブログ

マルティン・シュタットフェルト

 マルティン・シュタットフェルトに初めてインタビューをしたのは、2005年8月、シュトゥットガルトでのことだった。
 前年、ヨーロッパでリリースされたJ.S.バッハ「ゴルトベルク変奏曲」がセンセーションを巻き起こし、日本でも大きな話題となっていた。
 ドイツでのインタビューは、コンサート会場の近くで行われ、シュタットフェルトは演奏と同様にあるリズム感を伴って颯爽と現れた。
 あれから13年、彼は何度も来日し、そのつど新たな面を示してきた。
 シュタットフェルトはもちろんバッハ以外の作品も演奏しているが、新譜は「バッハへのオマージュ」と題した「シャコンヌ」のピアノ用編曲と、自作の「バッハへのオマージュ〜ピアノのための12の小品」(ソニー)。その話を聞きに、すみだトリフォニーホールに出かけた。
 今回のリサイタルでは(11月25日すみだトリフォニーホール)、バッハと自作とショパンの24の練習曲集(シュタットフェルトによる即興演奏挿む)がプログラムに組まれている。
 インタビューでは、新譜の編曲と自作の話題が中心となり、やはりバッハに始まり、バッハに終わった。
 このインタビューは次号の「intoxicate」に書く予定である。
 シュタットフェルトは、自身の進む道を迷わず、道草もせず、まっすぐに進んでいる。近年は作・編曲にも力を入れ、「自分の本当に弾きたいものを弾く」という姿勢を明快に打ち出している。
 彼はとても思慮深く、静かにおだやかに話す。ここがもっとも変貌した点で、最初に会ったころは、話も「ゴルトベルク変奏曲」の演奏の疾走するイメージと重なり合うようなスピード感にあふれ、エネルギッシュでリズミカルで、ある種のとんがった感じを抱いたものだ。
 しかし、現在はひとつの質問にじっくり考えを巡らし、ゆったりとことばを選びながら話す。
 ひとりのアーティストをデビュー当初から聴き続け、取材し続けると、その人間性と音楽性の変容が理解できて興味深いが、シュタットフェルトの場合もしかり。音楽の熟成と同様、人間性も成熟してきたことがわかる。ただし、バッハに対する一途な思いは変わらぬままだ。
 今日の写真は、静けさあふれる表情のマルティン・シュタットフェルト。

y3242_R.JPG

 
posted by 伊熊よし子 at 23:59 | アーティスト・クローズアップ
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE
検索ボックス