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ファジル・サイ

 2000年の初来日以来、何度かインタビューをしているピアニストで作曲家のファジル・サイに、久しぶりに会った。
 彼は11月9日、すみだトリフォニーホールで新日本フィルとベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」と、自作の交響曲第2番「メソポタミア」(日本初演)を演奏する。
 今日は、その「メソポタミア」のことを聞くため、インタビューを行った。これは次号の「ぶらあぼ」に書く予定になっている。
 当初ファジル・サイは目が宙をさまよい、指をくわえ、インタビューの答えもよくわからないという感じだったが、最近は相手の目をしっかり見て、じっくり話してくれるようになった。
「やあ、しばらく。元気だった?」
 会うなりそういわれ、「ええ、元気にしています。あなたは?」という会話で始まった。
 今回は「メソポタミア」の構想を抱いたときのこと、作曲がどう変化していったか、作品で何を伝えたいのか、楽器編成、楽章構成、もっとも表現したいことなどを聞き、さらに作曲家としての基本姿勢や作曲の具体的な方法まで聞くことができた。
 作曲をするアーティストに話を聞くことは多いが、ほとんどの人が「日常生活のなかで自然に曲作りをしている」「本を読んだり、音楽を聴いたり、散歩をしているときに曲想が浮かぶ」「さまざまな断片を記憶しておいて、あるときにつなげる」などと答える。
 しかし、サイはまったく違った。
 自分のなかに音楽が聴こえてきて、たとえばオーケストラのそれぞれの楽器の音が具体的な音を鳴らすまで待ち、あとはそれを譜面に書き記していくだけだという。
 この話はとても興味深かったため、私は根掘り葉掘りその「音が聴こえてくる」部分を突っ込んで質問した。
 サイは、「メソポタミア」を例に取り、いろんなことばを駆使して具体的な方法を話してくれた。
 作曲家とは、本当にすごい職業だ。サイの話を聞いているだけで、その天才性が伝わってくる。最初に会ったころは「天才とはこういう人をいうのだろう。ちょっと現世から離脱しているな」と感じたものだ。
 いまはふつうに話してくれるようになったが、やはり作曲の話になると、心はどこかに飛んでいくようだ。「私は音楽しかない。日々、音楽のことしか考えていないから」といっていた。
「メソポタミア」の日本初演が楽しみである。
 今日の写真は、インタビュー後の1枚。「ここをバックに撮った方がいいんじゃない」、と自分で場所を指定して立ってくれた。 

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posted by 伊熊よし子 at 22:30 | 情報・特急便
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