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山田和樹

 指揮者の山田和樹の快進撃が続いている。
 2016/17シーズンからモンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼音楽監督に就任し、2010年から17年まではスイス・ロマンド管弦楽団の首席客演指揮者を務めた。
 そして国内では日本フィルの正指揮者として、また東京混声合唱団音楽監督兼理事長を務ね、学生時代に創設した横浜シンフォニエッタの音楽監督としても活動している。
 この多忙な任務に、さらに2018年4月からは読売日本交響楽団首席客演指揮者に就任するというニュースが伝わり、ごく最近では2018/2019シーズンからバーミンガム市交響楽団の首席客演指揮者に就任することが発表された。
 いったいどのようにして、この過密なスケジュールをこなしているのだろうか。
 今日は日本フィルのリハーサル会場にお邪魔し、演奏前にインタビューを行った。
「そう、結構あちこち行き来が大変ですね。でも、バーミンガム市響が決まったときはすごくうれしくて、子どもがおもちゃを与えられたような気分でした。もちろん、オーケストラをおもちゃなんていったら失礼ですが、たとえ話として、そんなうれしさいっぱいの気分だったんです」
 山田和樹は、いつ会っても元気いっぱい。実に楽しそうに音楽について語ってくれる。
「本当はものすごく疲れているときでも、まわりから元気だねえといわれる。どうしてでしょう。伊熊さんだっていつも元気そうで、生き生きとしているじゃないですか。えっ、元気じゃない? そんなわけないでしょ。すごく元気に見えますよ。話していて、エネルギーが伝わりますし」
 こういわれちゃなあ。疲れているなんて、いえないし(笑)。
 山田和樹にはスイス・ロマンド管のポジションが決まったときにも話を聞いたが、そのときもバーミンガム市響と同様に、とても楽しいと話していた。
 いま振り返ると、このオーケストラとは本当に「いい仕事ができた」。さらに「学ぶことが多かった」「こういう音色を出すオーケストラは他にない」と述懐する。
 このインタビューは、次号の「日経新聞」の連載記事に書く予定である。
 彼はとても話しやすく、何を質問しても幅広い答えを戻してくれる。音楽がすべてという生活を送り、モンテカルロでは重責を担っているが、そういう話もさらりと語る。音楽監督ゆえ、大変な苦労を重ねているようだが、「これもすべて音楽のため」と割り切っている。
 現在は、日本フィル&東京混声合唱団と「アンセム・プロジェクト」を実践、世界のアンセム(愛唱歌)を2020年へ向けてシリーズ化している(キングレコード)。さらに日本音楽史を塗り替えた作曲家、「大澤壽人の芸術」(コロムビア)の作品もレコーディングしている。
 世界に飛翔する山田和樹の歩みは加速するばかり。だが、ご本人はとてもおだやかな口調で話し、すべての音楽を楽しんでいるという表情を崩さない。その演奏と同様、会った人を元気にさせてくれる人だ。
 今日の写真は、インタビュー後の1枚。リラックスした雰囲気、伝わるでしょう。

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posted by 伊熊よし子 at 22:44 | クラシックを愛す

藤木大地

 カウンターテナーの藤木大地の名は、2017年4月、アリベルト・ライマンがウィーン国立歌劇場のために作曲し、2010年世界初演された「メデア」のヘロルド役でデビューしたことで一躍広く知られるところとなった。
 このセンセーショナルなデビューは、日本人および東洋人のカウンターテナーとして史上初の快挙で、新聞で絶賛された。
 藤木大地は長年ウィーンに住み、ウィーン国立歌劇場の舞台に立ち、バロックからコンテンポラリーまで幅広いレパートリーを披露している。
 彼は10月24日、「愛のよろこびは」と題したCDでワーナー・ミュージック・ジャパンよりメジャー・デビュー・アルバムをリリースする。このアルバムにはカッチーニやシューベルトの「アヴェ・マリア」、シューマンの「献呈」、リストの「それはすばらしい」、アーンの「クロリスに」からマルティーニの「愛のよろこびは」(村上春樹原作の映画「ハナレイ・ベイ」主題歌)まで、美しい旋律に彩られた16曲が収録されている。
 特筆すべきは共演のピアニストで、40年以上に渡り、世界中の偉大な歌手たちと共演を重ねてきたマーティン・カッツが担当している。藤木大地は以前からカッツの教えを受け、現在は先生と生徒ではなく、パートナーとして音楽と対峙し、録音でもよき共演者として高みを目指したという。
 今日は藤木大地にインタビューし、その録音のこと、カウンターテナーのレパートリーのこと、ウィーン国立歌劇場のオーディションのこと、子どものころからの音楽に対する考えなど、さまざまなことを聞いた。
 このインタビューは、「東京新聞」の連載コラムに書く予定である。
 いろんな話のなかで盛り上がったのが、からだを鍛える話。ホットヨガをしているそうで、とても代謝がよくなるそうだ。私も勧められてしまった。
 代謝がよくなるのか、う〜ん、そのひとこと、魅力的よねえ(笑)。物書きの仕事はものすごく代謝が悪くなり、いつもからだがバリバリだもんね。なんでも、風邪をひかなくなったという。
 藤木大地の声は透明感があり、のびやかで情感豊か。とても自然で、ぜひナマの声を聴きたくなる。
 12月18日には、紀尾井ホールでCDデビュー記念のリサイタルが行われる。収録曲が目一杯披露される予定。ぜひ、聴きに行かなくっちゃ。
 今日の写真は、インタビュー後のワンショット。

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posted by 伊熊よし子 at 23:30 | アーティスト・クローズアップ

ファジル・サイ

 2000年の初来日以来、何度かインタビューをしているピアニストで作曲家のファジル・サイに、久しぶりに会った。
 彼は11月9日、すみだトリフォニーホールで新日本フィルとベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」と、自作の交響曲第2番「メソポタミア」(日本初演)を演奏する。
 今日は、その「メソポタミア」のことを聞くため、インタビューを行った。これは次号の「ぶらあぼ」に書く予定になっている。
 当初ファジル・サイは目が宙をさまよい、指をくわえ、インタビューの答えもよくわからないという感じだったが、最近は相手の目をしっかり見て、じっくり話してくれるようになった。
「やあ、しばらく。元気だった?」
 会うなりそういわれ、「ええ、元気にしています。あなたは?」という会話で始まった。
 今回は「メソポタミア」の構想を抱いたときのこと、作曲がどう変化していったか、作品で何を伝えたいのか、楽器編成、楽章構成、もっとも表現したいことなどを聞き、さらに作曲家としての基本姿勢や作曲の具体的な方法まで聞くことができた。
 作曲をするアーティストに話を聞くことは多いが、ほとんどの人が「日常生活のなかで自然に曲作りをしている」「本を読んだり、音楽を聴いたり、散歩をしているときに曲想が浮かぶ」「さまざまな断片を記憶しておいて、あるときにつなげる」などと答える。
 しかし、サイはまったく違った。
 自分のなかに音楽が聴こえてきて、たとえばオーケストラのそれぞれの楽器の音が具体的な音を鳴らすまで待ち、あとはそれを譜面に書き記していくだけだという。
 この話はとても興味深かったため、私は根掘り葉掘りその「音が聴こえてくる」部分を突っ込んで質問した。
 サイは、「メソポタミア」を例に取り、いろんなことばを駆使して具体的な方法を話してくれた。
 作曲家とは、本当にすごい職業だ。サイの話を聞いているだけで、その天才性が伝わってくる。最初に会ったころは「天才とはこういう人をいうのだろう。ちょっと現世から離脱しているな」と感じたものだ。
 いまはふつうに話してくれるようになったが、やはり作曲の話になると、心はどこかに飛んでいくようだ。「私は音楽しかない。日々、音楽のことしか考えていないから」といっていた。
「メソポタミア」の日本初演が楽しみである。
 今日の写真は、インタビュー後の1枚。「ここをバックに撮った方がいいんじゃない」、と自分で場所を指定して立ってくれた。 

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posted by 伊熊よし子 at 22:30 | 情報・特急便
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