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シーズンに向けて始動

 猛暑の最中だというのに、はや秋からのシーズン始動の様相を呈している。
 原稿依頼、取材依頼、出張依頼が、みんなシーズンに先駆けて入ってきているのである。
 さて、どうやってスケジュールを組み立てていこうか。またまた体力勝負の秋となりそうだ。
 ひとつずつノートに書き留め、仕事が重ならないように順序を考え、自分にできる範囲で引き受け、頭のなかを整理していかなくてはならない。
 私は一度にふたつのことができないため、常にひとつずつじっくりとこなしていくことになる。これは一見すると効率が悪いように思えるが、けっしてそうではない。
 一度にひとつのことしかできない人間にとって、ひとつずつ仕事を片付けていくのは、理にかなっている。ひとつ終われば、そのことはきっぱり忘れ、新たな気持ちで次に進めるからである。
 というのは、まあ器用な人から見ればいいわけのように聞こえるかもしれないが、私のように不器用な人間にはそれ相応のやり方があるのだ。
 長年、この方法で仕事と取り組んできたから、いまさら方向転換するわけにはいかない。
 さて、今日もひとつの原稿を書き終えたから、このことはもう頭のなかから追い出して、次なる原稿に気持ちを向けようっと。
 
posted by 伊熊よし子 at 22:28 | ああ愉しき(?)、締切り地獄

松下敏幸さん

 クレモナには、現在登録されている弦楽器制作者が150人ほどいるが、そのなかで日本人は8人だそうだ。
 なかでも著名なのは、1982年からクレモナに在住して工房を構え、数々のコンクールで賞に輝いている松下敏幸さんである。
 今回は松下さんの工房におじゃまし、その制作過程や工具、材料などを拝見し、さまざまなお話を伺った。
 彼はストラディヴァリ時代の古い楽器を研究し、古いレシピの分析を行い、自ら調合するオイルニスを使用している。このオイルニスは、亜麻仁油を煮詰めて西洋茜で色素を作るなど、すべて手作り。それを何度も楽器に塗っては乾かし、時間をかけて制作していく。

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 膨大な時間と忍耐を要するこの制作、年にヴァイオリンの場合3挺作るのが限界だそうだ。
 松下さんの話はとても情熱的で、楽器作りに命を賭けている感じ。ひとつのことに魂を傾ける大切さを教えてくれる。
 工房は古い石造りの堅牢な建物のなかにあり、夕方訪れたときに高い窓から光が射し込み、美しい光彩を放っていた。

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 部屋には何年も寝かせている木材が数多く積み上げられ、いまかいまかと楽器として完成するのを待っている。ありとあらゆる道具も所狭しと並べられ、ひたむきに仕事に打ち込む職人の技を垣間見る思いに駆られた。

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 その工房のすぐ裏手に古い教会があり、その壁画がすばらしく感動的だった。アントニオ・ストラディヴァリの時代の名士たちが描かれているのだが、後列左から4人目の、人のうしろに隠れるようにしてシャイな表情を見せているのがストラディヴァリその人だという。
 クレモナは本当に奥深い街である。たった数日間の滞在だったが、記憶に残る多くのことに出合えた。

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posted by 伊熊よし子 at 23:37 | 麗しき旅の記憶

リヴァプールでビートルズの足跡を辿るD

「リヴァプールでビートルズの足跡を辿る」の第5回は、ジョンとポールが初めて出会った聖ピーターズ教会だ。

 1957年7月6日、ポールはジョンが演奏しているところを初めてここで目撃した。ポールはジョンとも共通の友人であるアイヴァン・ヴァ―ンに誘われてきた。
 ジョンの初バンド「ザ・クオリーメン」は教会の裏で開催されるガーデンパーティでの演奏を頼まれていた。ポールはジョンを見て魅了されるが「カム・ゴー・ウィズ・ミー」の歌詞をまちがえてうたっているのと、その上ギターのチューニングが合っていないと気づいた。アイヴァンはポールにあとでジョンを紹介するといった。
 ジョンは叔父のジョージをちょうど2年前に亡くし、彼が埋葬されていた場所はこの教会のなかのジョンのうたっていたステージのすぐ近くだったから、きっとうたうのが辛かったのだろうと思われる。
 アイヴァンはここでポールをジョンに紹介し、ジョンは早速ポールに「トゥエンティ・フライト・ロック」を弾けるか試す。弾き始めたポールはジョンのギターのチューニングが合っていないことに気づいたため、ジョンにチューニングの仕方を教えてあげた。その後、「ビー・パップ・ア・ルラ」や「ロング・トール・サリー」を弾き、ピアノでリトル・リチャードの物まねを披露したのである。
 みんなはポールの歌唱力、ギターとピアノのスキル、それに歌詞をしっかり覚えていることに感銘を受けた。2日後、ポールは「ザ・クオリーメン」へ誘われた。その後の活動は多くの人が知っている通りである。

今日の写真は、聖ピーターズ教会と、壁にかけられたジョンとポールがここで初めて出会ったことを記すプレート。

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posted by 伊熊よし子 at 22:45 | 麗しき旅の記憶
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