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特集の入稿

 ようやく、先日の海外出張のウィーン&グラフェネックとクレモナの特集記事の入稿を終わらせることができた。
 休日返上で原稿を書き続けたため、もういまは疲労困憊の状態である。
 こういうときは、大好きなお料理をして心身をリラックスさせる必要がある。
 私は、取材のときに、現地でさまざまな食材や調味料を探すのが楽しみ。クレモナでは、この土地ならではのモスタルダというフルーツを使ったソースを見つけた。
 これはクレモナで昔から食べられていたソースで、りんご、洋なし、レモンなどのフルーツをお砂糖で煮込んでジャムのようにし、最後にマスタードを加えるというもの。
 レストランでお肉やお魚に添えられてきたことで味を知り、街で探してみた。すると、モスタルダの専門店があったのだが、レストランで食べたときよりも色が鮮やかで、いわゆるお土産っぽい。
「ダメダメ、観光客用に売っているモスタルダは色付けだから、やめた方がいい。ちゃんと自分のところで作ったものでないと、本来の味ではないよ」と、レストランのオーナーシェフにいわれた。
 これは大鍋でたくさん煮ないといい味わいにならないらしい。レシピを聞いて家で作ろうと思ったが、「無理無理」といわれてしまった。そこで、そのレストランの瓶詰めを分けてもらった。
 今日は、きっと蒸した豚肉に合うだろうなと思い、豚ヒレ肉のかたまりを買ってきて圧力鍋でポットローストを作り、肉汁でグレービーソースも作ってモスタルダとともに添えることにした。
 写真は、出来上がったポットローストと2種類のソース。もう1枚は、レストランお薦めのモスタルダ。これは甘さのなかにピリッとしたマスタードが効いていて、実に個性的な味わい。あまり好きではない、という人もいる。
 クレモナにいくまで、この味はまったく知らなかった。今回の旅の新たな発見である。

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posted by 伊熊よし子 at 17:31 | ああ愉しき(?)、締切り地獄

クレモナ四重奏団

 クレモナから戻り、弦楽器関係の仕事が続いている。
 昨夜は、樫本大進&キリル・ゲルシュタインのデュオ・リサイタルを聴きに東京オペラシティコンサートホールに出かけた。
 この演奏会のプログラムの大進の記事を書いたため、かなり前からコンサートを楽しみにしていた。
 曲目はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第2番からスタート。ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番へと続き、後半はモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ変ロ長調K.378、R.シュトラウスのヴァイオリン・ソナタ変ホ長調で幕を閉じるという趣向だった。
 これまで大進が何人ものピアニストと組んだデュオを聴いてきたが、キリル・ゲルシュタインはまったく異なる個性と表現とテクニックを備えたピアニストだった。
 ふたりは昔からの音楽仲間だそうだが、リサイタルで共演するのは初めて。ゲルシュタインはジャズを学んでいたこともあったという個性派で、クリアで躍動感あふれるピアニズムの持ち主。この夜のデュオは、R.シュトラウスのソナタが秀逸だった。
 終演後、ベルリン取材以来だったため、「家庭画報」のSさんと一緒にそのときのお礼とあいさつに楽屋に伺った。彼は自然なダイエットが功を奏し、かなり体重が落ちたそうだ。
 そして今日は、クレモナ四重奏団のインタビューにレコード会社に出向いた。
 開口一番、「先日、クレモナに取材に行ったんですよ」というと、4人は口をそろえて「ものすごく暑かったでしょう」といった。でも、今日は東京もハンパではない暑さだもんね。
 クレモナ四重奏団は、2012年から2015年にかけて、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲録音を敢行している(キングインターナショナル)。それを聴かせてもらったが、実にみずみずしく自由闊達で、型にはまらないのびやかな演奏である。
 インタビューでは4人がそれぞれの役割、ベートーヴェンの作品に対する思い、録音で得たもの、クレモナ四重奏団の今後などについてジョークを交えながら雄弁に語ってくれた。
 クァルテットのインタビューというと、いつもはとてもシリアスで哲学的な話に終始するのだが、さすがイタリアのクァルテットだけあって、陽気で愉しく、笑いが絶えなかった。
 このインタビューは、次号の「intoxicate」に書く予定になっている。
 今日の写真はそんな4人。左から第1ヴァイオリンのクリスティアーノ・グァルコ、ヴィオラのシモーネ・グラマーリャ、第2ヴァイオリンのパオロ・アンドレオーニ、チェロのジョヴァンニ・スカリオーネ。
 いまは日本音楽財団から貸与された、アントニオ・ストラディヴァリの製作による「パガニーニ・クァルテット」の4挺の楽器を使用している。

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posted by 伊熊よし子 at 23:59 | アーティスト・クローズアップ

クラウディオ・モンテヴェルディ

 クレモナは初期バロック音楽最大の作曲家として知られ、歌劇「オルフェオ」を残したクラウディオ・モンテヴェルディ(1567〜1643)の生地である。彼はクレモナ大聖堂の聖歌隊員になり、のちにマントヴァのゴンザーガ侯爵家の楽長となり、やがてヴェネツィアのサン・マルコ大聖堂の楽長となった。
 現在のクレモナには、モンテヴェルディゆかりの場所はそう多く残されているわけではない。
 今回の出張で、私は数少ない足跡を辿ろうと、取材の合間の自由時間を利用して、聖アボンディオ教会を訪れた。ただし、平日の昼間は扉が閉まっていて、中には入れない。
 イタリア語の通訳&コーディネーターを務めてくれたIさんが神父さまにかけあってくれ、長時間待たされたが、ようやくだれもいない内部に入ることができた。

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 その教会には、モンテヴェルディの洗礼盤と洗礼簿があるはずだった。しかし、すぐには見せてもらえない。じっくり待っていると、鍵をジャラジャラいわせて教会の番人が入ってきて、洗礼盤の扉を開けてくれた。

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 神父さまは、私があまりにも感動していたため、「じゃ、内部も見せてあげようか」といって、洗礼盤のふたを開けて中を見せてくれた。この中に聖水を入れるのだそうだ。モンテヴェルディは1567年5月にその洗礼を受けている。

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 やがて神父さまの後について中庭を経由して別の建物の上の階に上がると、また大きな扉があり、特別にそこを開けてくれた。
 そこにはガラスで覆われたケースがあり、モンテヴェルディの洗礼簿が保管されていた。上から2番目に、「モンテヴェルディ」の文字をはっきり見ることができる。

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 この間、わずか15分ほど。だが、私にはとても長い時間に感じられた。まるで16世紀にタイムスリップしたようで、モンテヴェルディの時代にいざなわれたような感覚にとらわれたからである。
 最初、だれもいない暗い教会に入った途端、33度を越す外気からひんやりした空気のなかに突然迷い込み、とまどいを隠せなかったが、神父さまが「エミーリオ!」と大きな声で呼び、番人が腰にぶらさげた鍵の束をジラジャラいわせて入ってきたときは、まるで「トスカ」の冒頭のシーンのようだと錯覚してしまった。
 このほか、モンテヴェルディの像を巡ってあちこち散策した。残されている資料で見る顔に似ている像もあれば、現代的にデフォルメされた像もあった。

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posted by 伊熊よし子 at 21:57 | 麗しき旅の記憶
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