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ウィーン楽友協会「黄金のホール」

 先日、辻井伸行の取材でウィーンを訪れた際、久しぶりにウィーン楽友協会「黄金のホール」に足を踏み入れた。
 このホールは音響のすばらしさで知られ、佐渡裕指揮ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団のリハーサルを聴いているときも、ステージから放物線を描くように客席に届けられる、まろやかで精緻な響きに魅了されたものだ。
 以前、このホールを取材した際、芸術監督のトーマス・アンギャン氏が「このホールは下は空洞になっており、上も何もないため、コントラバスのように全体が鳴り、すばらしい響きが生まれるのです」と語っていた。
 今回の辻井伸行のラヴェルのピアノ協奏曲も、冒頭からピアノの響きが明晰かつこまやかで、ひとつひとつのリズムが非常にクリアに響いてきた。
 オーケストラとの音の融合も自然で、まさにラヴェルの粋で洒脱でエスプリに富んだ音楽が聴き手の心にまっすぐに届けられる感覚を抱いた。このコンチェルトは多分にジャジーな雰囲気を備えているが、幼いころからジャズが好きだという辻井さんのノリのよさも際立っていた。
 彼自身、インタビューではこのホールの響きを絶賛し、「ここで演奏できて本当に幸せ。夢のようなひとときです」と話していたが、やはりピアニストにとっては至福の時間を過ごすことができるのだろう。
 本当に、このホールは「黄金のホール」と称されるのにふさわしい。私はいつもここにすわっていると、カラヤンのたった一度のウィーン・フィルのニューイヤーコンサートを聴きにきたときのことを思い出す。
 私にとっても、まさにここは夢のようなひとときを過ごした場所である。
 今日の写真は、以前、許可をいただいて撮影した人の入っていない「黄金のホール」。ため息が出そうなくらい、美しい。

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posted by 伊熊よし子 at 22:00 | 麗しき旅の記憶
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