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清水和音

 清水和音のピアノは気負いや気取りがまったくなく、まさに正統派。作曲家がいいたかったこと、伝えたかったことに肉薄し、楽譜に忠実な演奏である。
 しかし、けっして堅苦しい演奏ではなく、そこには楽譜の裏側まで読み込んだ洞察力の深さが顔をのぞかせている。
 今日は、東京オペラシティコンサートホールで、「ベートーヴェン 4大ピアノ・ソナタ」のリサイタルが行われた。前半がピアノ・ソナタ第8番「悲愴」と第21番「ワルトシュタイン」で、後半が第14番「月光」と第23番「熱情」という重量級のプログラムである。
 ベートーヴェンのピアノ・ソナタを4曲続けて聴くと、さすがにずっしりと胸に迫りくるものがあり、聴き手の集中力もハンパではない。
 ピアニストはさぞ大変だろうと思うが、終演後に楽屋で会った清水和音は、汗びっしょりながら、にこやかだった。
 これだけの作品を演奏したら、達成感はさぞかしと思いきや、いつもながらの自虐的なギャグを飛ばしていた。
 この公演評は、「公明新聞」に書くことにしている。
 今後も意欲的なコンサートが目白押し。2018年2月6日には「ピアノ四重奏曲は美しい!」(東京芸術劇場コンサートホール)、4月8日には「三大ピアノ協奏曲の饗宴」(サントリーホール)、4月21日には「清水和音ピアノ主義」(浜離宮朝日ホール)が予定されている。
 今日の写真は、楽屋でのひとこま。私服に着替えた直後で、まだリサイタルの高揚感をまとっている。

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posted by 伊熊よし子 at 22:41 | クラシックを愛す

エマニュエル・パユ

 いつもエマニュエル・パユにインタビューで会うと、その仕事ぶりに驚かされる。
 彼は頭のなかに向こう3年間から5年間くらいのコンサートと録音の企画がビッシリ詰まっていて、それをどんどん話してくれるからである。
 今回は、来年リリース予定の新譜の情報がまだヨーロッパのレコード会社から日本のレコード会社の方に届いていないとのことで、本人に直接聞いた方が早いだろうということになった。
 ライナーノーツを担当する身としては、新譜の内容の詳細を聞く必要がある。
 パユは次々に曲目を並べ、内容をガンガン話していくのだが、あまり演奏されない作品や聞き慣れない作曲家の名前が飛び出し、こちらは四苦八苦である。
 いやあ、これは大変なことになった。曲目解説に時間がかかるなあと思いつつ、話を進めていく。
 レコード会社の担当者もメモを取るのに必死で、私もインタビューではなく、情報収集に徹することになった。
 そうこうするうちに話は終わり、帰宅すると、パユは先ほど話した曲目のリストをすぐにメールで送ってくれた。
 本当にすごい人だよねえ。私が話を聞いたのは、彼のリサイタルの本番前なのに、すぐにこうやって情報を流してくれるなんて…。
 よく樫本大進が、「エマニュエルは本当の天才」といっているけど、確かにそうだと思う。なんでも簡単に吹けてしまうし、録音の話を聞いても、苦労話はいっさいない。
「なんで? 録音で苦労なんかしていないよ。準備はきちんとできているからさ。その前にちゃんと用意しておけば、録音は楽しんでできるよ」
 そうでしょうね。なんといっても、真の天才だから。
 それでも、何かないかなと考え、苦心したことや困難にぶつかったことを聞き出そうとすると、こんな答えが戻ってくる。
「私はねえ、ストレスがないんだよね。努力して自分がやるべきことをやれば、結果はついてくる。いつも楽しんで演奏しているよ」
 ハイハイ、よくわかりました。こういう人に野暮な質問をしてもダメなんだよね。もっと、音楽的な質問をした方がいいと思い、方向転換をすることになる。
 パユは毎年のように来日し、2018年も来日公演が組まれている。その前に新譜のライナーを仕上げなくてはならない。まず、いま手に入る情報から進めましょうか。
 今日の写真は、天才のパユさま。でも、けっして鼻高々にならず、いつも一生懸命ことばを尽くして話してくれる真摯な性格の持ち主。熱心なファンが多いのもうなずける。

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posted by 伊熊よし子 at 22:33 | 情報・特急便

2017年を振り返る

 11月下旬から12月初旬にかけて、音楽誌の「2017年を振り返る」という特集記事の原稿が相次いでいる。
 今年行われたコンサートベストテンや、CD&DVDのベストファイブなど、1年間を回顧する企画である。
 こういう企画の場合、ベストワンはすぐに思い浮かぶのだが、いくつか選ぶとなると、ノートを1月から順に見直して振り返り、記憶を呼び覚まさなくてはならない。
 こうして1年を振り返ると、さまざまな思い出が蘇ってくる。心に残るすばらしいコンサート、インタビューや取材をしたアーティストの演奏会、何度も聴き直した録音など、思い出は多種多様だ。
 もちろん、海外出張で聴いた演奏も印象に残っている。シドニーのオペラハウスのコンサートホールで聴いた辻井伸行の演奏、ソウルで聴いたフォルテ・ディ・クアトロの歌声。いずれも忘れがたいコンサートである。
 雑誌や新聞はかなり先の記事を書くため、もう2018年に気持ちが飛んでいく感じがする。
 しかし、12月はまだまだ来日アーティストが多く、20日ころまでコンサートが入っている。それから23日に長野市芸術館の講義に出かけると、あっというまに年末になってしまう。
 今年は、年末年始のお休みはとれるのだろうか。いつも間近になって、年末年始に仕上げなくてはならないものが舞い込んでくる。これが怖いんだよね(笑)。
 
 
  
 
posted by 伊熊よし子 at 22:42 | 日々つづれ織り
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