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ナタリー・シュトゥッツマン

 コントラルト歌手のナタリー・シュトゥッツマンは、近年オーケストラ指揮者としての活動が増えている。
 各地のオーケストラに客演してオペラからシンフォニーまで幅広く指揮、日本においても新日本フィル、水戸室内管、セイジ・オザワ松本フェスティバルなどから招かれている。
 シュトゥッツマンは、指揮をフィンランドの伝説的指導者ヨルマ・パヌラに師事し、小澤征爾とサイモン・ラトルからも指導を受けた。2009年には自身の室内オーケストラ、オルフェオ55をフランス、メスのアースナルに設立している。
 今日は、なんと22年ぶりに彼女にインタビューを行うことができた。
 以前の雑誌「フィガロ・ジャポン」の記事をもっていくと、「ウワーッ、なつかしい。お互い、若かったわねえ」と大笑いし、なごやかな雰囲気でインタビューは始まった。
 シュトゥッツマンは常に新たな分野を開拓し、シューベルトの「三大歌曲集」をうたい、指揮も本格的に行い、さらに次なる新譜では「イタリア古典歌曲集」をオルフェオ55と収録している(ワーナー)。ただし、このアルバムはまだリリースが最終的に決定しておらず、おそらく来年初頭になりそうだ。
「イタリア古典歌曲集」は、私も音大の1年生のときに副科の授業で習ったことがあるが、多くの人が教育用の歌曲だと思っている。シュトゥッツマンは、それを2年間研究し、世界中に資料を探しにいき、オリジナルのオーケストラ伴奏の楽譜を探したという。
 その経緯は、「intoxicate」と私のHP「音楽を語ろうよ」で詳しく紹介したいと思う。
 久しぶりのインタビューは、笑いを交えた楽しい時間となり、新譜の録音に関して、オーケストラの指揮について、子ども時代の歌とのつながり、両親のこと、シューベルトの作品について、ベートーヴェン、ブラームス、マーラー、ブルックナーなどが振れる喜びなど、多岐に渡った。
 とりわけ興味深かったのは、指揮をするときの服装について。動きやすいことはもちろんのこと、フランス人らしく、エレガンスをモットーとしているそうだ。ちなみに、彼女の指揮姿はすごくマニッシュで、動きも美しく素敵だ。
 今日の写真は、日焼けしたカッコいいシュトゥッツマン。
 趣味は自分で小型船を操縦して地中海に繰り出すこと。だれもいない静かなところにいって、思いっきり泳ぎ、ダイビングもする。その後は、おいしいワインと食事を楽しむ。
「人生、仕事ばかりではなく、少しは楽しまなくっちゃね」
 話を聞いているうちに、私の頭にはイタリア歌曲が鳴り響き、からだ中が地中海の風をまとっているような気分になった。
 帰りに、シュトゥッツマンは、「次は20年も間を置かずに、インタビューにきてね?」と笑いながら送ってくれた。
 今日の写真は、インタビュー後の1枚。こんがりといい色に焼けています。


  
 
 
タグ:"Yoshiko Ikuma"
posted by 伊熊よし子 at 21:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | アーティスト・クローズアップ

藤田真央

 今朝、うれしいニュースが飛び込んできた。
 2年に1度、スイスのヴヴェイで開催されているクララ・ハスキル国際コンクールで、日本の18歳のピアニスト、藤田真央が優勝の栄冠を手にしたのである。
 このコンクールは、ルーマニア出身で1960年に没したクララ・ハスキルを記念し、1963年に開始されている。
 クララ・ハスキルは、1942年から18年間、このレマン湖北岸の美しい街、ヴヴェイで暮らした。
 これまで優勝者にはクリストフ・エッシェンバッハ(1965年、ドイツ)、リチャード・グード(1973年、アメリカ)、ミシェル・ダルベルト(1975年、フランス)、ティル・フェルナー(1993年、オーストリア)、マーティン・ヘルムヘン(2001年、ドイツ)、河村尚子(2007年、日本)らが名を連ね、いずれも大音響とは無縁で、しかもテクニック優先ではなく作品の内奥にひたすら迫っていく演奏をするタイプが多い。そして叙情的な演奏を得意とし、音が美しく、派手なパフォーマンスを苦手とし、滋味豊かな音楽を聴かせる。
 藤田真央は、NHKの取材に対し「大人の部の国際コンクールに挑戦するのは初めてで、経験がないなか優勝できてとてもうれしいです。受賞に恥じないよう精進したいです。音色の美しさにこだわった演奏をしていきたいと思います」と話していた。
 彼は現在、東京音楽大学1年生で、さいたま市出身。コンクールでは他の2名と本選に進み、モーツァルトのピアノ協奏曲などを演奏し、優勝に輝いた。
 同コンクールは、優勝の1賞のみという珍しいシステムをとっている。
 これから優勝者記念コンサートなどが行われるだろうが、ぜひナマの演奏を聴いてみたい。
タグ:"Yoshiko Ikuma"
posted by 伊熊よし子 at 15:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報・特急便

マニュエル・ルグリ

「バレエ界の至宝」と称されるマニュエル・ルグリは、パリ出身。
 1980年、16歳でパリ・オペラ座バレエ団に入団し、86年ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場におけるパリ・オペラ座公演でルドルフ・ヌレエフ版「ライモンダ」のジャン・ド・ブリエンヌを踊った後、エトワールに任命される。
 その後の破竹の勢いを感じさせる活躍は有名で、世界各国のバレエ団に招かれるほか、自身のプロデュースによる公演も多数開催してきた。
 来日公演も多く、日本のファンからも圧倒的な支持を受けている。
 2009年にパリ・オペラ座バレエ団を引退し、翌年ウィーン国立バレエ団の芸術監督に就任。ルグリがこの要職に就いてから、同バレエ団の集客率は格段に伸びたという。
 そんな彼が、世界各国の精鋭ダンサーたちとともに来日し、いま東京文化会館で「ルグリ・ガラ」を行っている(8月22日?25日)。
 昨日はその公演を観にいったが、ウィーン国立バレエ団、パリ・オペラ座バレエ団、英国ロイヤル・バレエ団、ボリショイ・バレエから選ばれたルグリの愛するダンサーたちは、各々最高の踊りを披露し、ルグリの最終章といわれる公演を盛り上げた。
 昨日はBプロだったが、ルグリももちろん踊りを披露し、前半ではイザベル・ゲランと「ランデヴー」を、後半では同じくゲランと「フェアウェル・ワルツ」を踊った。
 もっとも印象的だったのは、フィナーレに登場した滝澤志野(ウィーン国立バレエ団専属ピアニスト)のピアノとの「Moment」。これはルグリのソロで、世界初演にあたる。
 音楽はJ.S.バッハの「プレリュード ハ短調 BWV999」とバッハ/ブゾーニの「トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV564」を用い、振付はナタリア・ホレツナ。
 ルグリは舞台に出てくるだけで存在感を放ち、いずれの演目も圧倒的な美しさを示した。ひとつひとつの動きがエレガントで情熱的で完璧な美を探求している。そのストイックなまでの表現は、手の美しさにまで現れ、私は指先まで神経が張り巡らされたそのこなやかな動きに目が釘付けとなった。
 やはりひとつの時代を築いた人、最高級の芸術を追求する人、いまなお鍛錬を惜しまない人の芸術は、人の心に深い感動をもたらす。まさに、精神性の高さが伝わってくる舞台だった。
 今日の写真は、プログラムの表紙。18時半から始まり、終演は22時を回っていた。この公演は、今日が最終日である。

タグ:"Yoshiko Ikuma"
posted by 伊熊よし子 at 11:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | アーティスト・クローズアップ
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