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プラド美術館の三時間

 アーティストにインタビューをするなかで、ある絵画や書籍や映画などが無性に見たくなるということがある。
 昨年末、ピアニストの赤松林太郎にインタビューをしたとき、彼が「この本、よかったら読んでください」と渡してくれたのが、「虹のように」赤松林太郎著(道和書院)。
 この本のなかで、「グラナドスの音楽を感じるには、この1冊を読めば十分だと思われる」と紹介しているのが、エウヘーニオ・ドールスの名著「プラド美術館の三時間」(神吉敬三訳、ちくま学芸文庫)。
 たまたまこの1997年の第1版をもっていたので、本棚から引っ張り出し、改めてグラナドスを意識して読んでいる。
 文庫本といっても、ドールスの文章はさらりと読めるものではないため、結構時間がかかる。だが、私はグラナドスが大好きなため、その作品を理解するためにじっくり読みたいと思っている。
 プラド美術館は何度か訪れているが、最近はいついっても長蛇の列で、その人たちから「もう3時間も並んでいる」といわれると、あきらめざるを得ない。
 この本を改めて時間をかけて読んだ暁には、グラナドスの音楽が自分のなかでどのように変容しているか、楽しみである。
 今日の写真は、「プラド美術館の三時間」の表紙。このタイトルの付け方、本当にうまいよねえ。傑作だと思うワ。


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posted by 伊熊よし子 at 23:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日々つづれ織り

喜田屋

 西荻には、長年伝統的なレシピで和菓子を作り続けているお店がいくつかある。
 なかでも、北口のにしおぎ北銀座街にある老舗の喜田屋は、人気が高い。
 ここは和菓子ひと筋の年輩の職人さんが餡から作っていて、一日に販売される数も限られている。



 もっとも貴重なのが、豆大福。これはほとんんど午前中に売り切れてしまうため、なかなか購入することができない。
 私が気に入っているのがおしるこ用の餡で、つぶあんとこしあんがあり、年末年始の期間限定で販売される。
「うちはね、市販の餡は使っていない。北海道の小豆100パーセントを用い、豆から煮ていく。だから、数多くは作れない」
 いつも店頭に並ぶお菓子は数が限られていて、それもすぐに完売してしまう。
 運よく豆大福を手に入れることができたときは、本当にうれしい。
 以前、ある事務所で本の打ち合わせがあり、そのときは私以外はすべて男性だったのだが、この豆大福を買っていった。
「甘いもの、苦手な人いますか」
 と、聞いたところ、みんな大好きだという。そこでこの豆大福を出したら、みんな「ウワーッ、こういうの食べたいんだよ」「ふだん、なかなか食べられないねえ」「男だって、大福には目がないんだよ」と大騒ぎ。
 みんな口のまわりを粉だらけにしてパクつき、「うま?い。うますぎ。お茶、お茶、お茶くれえー」と叫んでいた。
 喜田屋は職人さんがひとりゆえか、お店にときどき顔を出すおばあちゃんいわく、「おじいちゃんが仕事ができなくなると、店はできない」といっていた。
 ずいぶん前に一度、その職人さんが病気で倒れたことがあり、長い間お店は閉じられていた。みんな、お店の前で張り紙を見て、肩を落としていたものだ。
 ようやくお店が再開したが、やはり数は限られている。先日、餡を分けてもらうことができ、おいしいおしるこを作ることができた。
 今日の写真は豆大福と、これも人気のお赤飯。豆大福の餡は甘さが抑えられた上品な味で、ほどよい塩気の赤えんどうまめがぎっしり入っている。皮や餅もすごく薄くて、とろけるよう。ひとつ食べただけで、ずっしり満足感。
 ずっとこの逸品が食べられるといいのだが…。職人さんの健康を祈願して…。


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posted by 伊熊よし子 at 14:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 西荻はおいしい

ウィーン楽友協会 作曲家の彫像

 ウィーンの楽友協会(ムジークフェライン)には何度か取材にいっているが、そのつど随所に飾られている作曲家の彫像に見とれてしまう。
 それぞれ非常によく創られたもので、作曲家の特徴をリアルに伝えているからである。
 もちろん、ウィーンには公園や広場などに作曲家の像がたくさん置かれているが、これらは主として雨ざらしの状態である。それでも、みな保存状態がよく、音楽ファンや観光客による記念撮影のよき被写体となっている。
 楽友協会の彫像は屋内にあるため、創られた当時のままのよい状態を保っている。
 これらは屋外のものと異なり、目立った感じでもなくさりげなく置かれているため、写真の被写体となることはそう多くない。
 今日の写真は黄金のホールの廊下にあるフランツ・リスト、フーゴー・ヴォルフ、グスタフ・マーラー、そして小ホールのブラームス・ザールにあるヨハネス・ブラームス。
 本当に、作曲家の特徴をよくとらえているでしょう。








 
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posted by 伊熊よし子 at 22:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 麗しき旅の記憶
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