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長富彩

 ベートーヴェンのピアノ作品だけでリサイタルのプログラムを組むのは、若きピアニストにとって、大きな挑戦となる。
 1月22日、長富彩は東京オペラシティリサイタルホールで、オール・ベートーヴェン・プログラムでリサイタルを行った。
 前半はピアノ・ソナタ第8番「悲愴」でスタート。次いで「創作主題による32の変奏曲」、ピアノ・ソナタ第24番「テレーゼ」と続けた。
 最初は緊張感がただよい、会場も多分に堅い空気に満ちていたが、演奏が自由闊達になるにつれ、ホールの空気感もほぐれてきた。
 後半は「エリーゼのために」がゆったりと清涼な雰囲気で紡がれ、これで一気に長富彩の個性と本領が発揮される形となった。
 最後はピアノ・ソナタ第30番。このソナタは、ピアニストにとって高い頂ともいうべき難度の高い作品。彼女は作品が内包する厳格さ、ロマン的な要素に加え、自由と幻想と平穏な表情ものぞかせ、ベートーヴェンの魂に近づいていった。
 長富彩には、CDデビューをしたころからインタビューなど会っているが、一本芯の通った考えの持ち主。ほんわかとした美しい容姿からは考えられないほど、根性が座っている。
 それがこのピアノ・ソナタ第30番の凛とした演奏に現れていた。
 この公演評は、「公明新聞」に書くことになっている。
 終演後、楽屋に顔を出すと、「ウワーッ、伊熊さ?ん、お会いしたかったんです。聴きにきてくれてありがとう!」と満面の笑顔を見せてくれた。
 この日はリサイタル後に新譜の「Aya Nagatomi plays Beethoven」(テレビマンユニオン)のサイン会が行われたが、彼女には根強いファンがいるため、長蛇の列となった。
 今日の写真は、久しぶりに会うことができた長富彩。この日のステージ衣裳は清楚さと華やかさが入り混じった、とても美しいドレスだった。

タグ:"Yoshiko Ikuma"
posted by 伊熊よし子 at 23:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | アーティスト・クローズアップ

チフヴィン墓地

 海外出張に行くと、取材の合間を見て、美術館を訪れたり音楽家の墓地に詣でたりするのが楽しみだ。
 サンクト・ペテルブルクで欠かせないのは、チフヴィン墓地である。
 ここはメトロのプローシャチ・アリクサンドラ・ネフスコヴォ駅の近くに位置している。
 メトロの駅前の広場からアレクサンドル・ネフスキー大修道院に向かう道路の両側には、チフヴィン墓地とラザレフ墓地というふたつの大きな墓地があり、チフヴィン墓地の方は、芸術家や文学者が多く眠っている。
 一方、ラザレフ墓地には建築家、科学者などのお墓が多い。
 チフヴィン墓地は豊かな緑に囲まれ、チャイコフスキー、ムソルグスキー、リムスキー=コルサコフ、そしてドストエフスキーのお墓がすぐに見つかる。
 どのお墓も個性的な彫刻やデザインに彩られ、存在感がある。
 とりわけ、チャイコフスキーのお墓は人気があり、世界中のファンが詣でるためか、献花が絶えない。
 サンクト・ペテルブルクは多くの観光名所があるが、チフヴィン墓地はこの古都きっての巡礼地といわれ、朝から夜まで混雑している。
 また、ロシアを訪ねることがあったら、再訪したい場所である。
 今日の写真は、チャイコフスキーとドストエフスキーのお墓。いろんな人のお墓を探したが、このふたりがダントツの人気を占めていた。




タグ:"Yoshiko Ikuma"
posted by 伊熊よし子 at 22:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 麗しき旅の記憶

新春懇親パーティ

 今日は、毎年恒例の音楽事務所―ジャパン・アーツの新年懇親パーティがANAインターコンチネンタルホテルで行われた。
 このパーティには毎年ジャパン・アーツ所属の音楽家が多数参加し、今年の抱負や演奏予定などが発表される。
 今日もさまざまなアーティストが壇上に並び、紹介された。



 そして途中から、世界各地で幅広い活躍を展開しているフィンランドの指揮者、ピエタリ・インキネンが参加。2016年9月より日本フィルの首席指揮者に就任したが、その初公演として、20日と21日にサントリーホールでブルックナーの交響曲第8番を振ると語り、2017/18年のシーズンからはザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルの首席指揮者に就任する予定だと発表した。
 次いで、リサイタルのために来日しているピアニストのキット・アームストロングが壇上であいさつ。今回のプログラムについて自身の考えを話した。
 キットには前にインタビューをし、その後も彼は近況をいつもメールで知らせてくれる。
「いつ日本に着いたの?」と聞いたら、なんと、「今朝だよ」といっていた。
 1月もあっというまに、もう20日だ。この新春懇親パーティが新年の幕開けの意味をもっているはずなのに、はや仕事は全開となってきた。
 もたもたしていると、すぐに2月になってしまう。2月にはまた海外出張の予定が入っている。まだ詳細は明らかになっていないが、そうこうしているうちにすぐに春が巡ってくるのではないだろうか。
 本当に日が経つのは早いよねえ。今日は仕事仲間とその話になり、ため息をついた。華やかなパーティなのに、ため息。困ったもんだ(笑)。
 写真は、挨拶するピエタリ・インキネンとキット・アームストロング。





 このパーティでは、いつも新人も紹介される。今日は、まだ12歳という若きピアニスト、奥井紫麻(おくいしお)に会った。彼女は2月からモスクワ音楽院付属中央音楽学校に留学するそうだ。ロシアが大好きで、モスクワで勉強できることに大きな期待を寄せていた。



 もうひとり、3月にCDデビューを果たすピアニスト、尾崎未空(おざきみそら)とも話し、前向きな姿勢に好感をもった。



 最近の若いアーティストは、本当に個性的な名前の人が多い。このふたりも、一度聞いたら忘れない名前の持ち主。ぜひ、大きく羽ばたいてほしい。
 
 
 
タグ:"Yoshiko Ikuma"
posted by 伊熊よし子 at 22:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | アーティスト・クローズアップ
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