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クラウス・マケラ指揮パリ管

 最近は、シンフォニーのコンサートでスタンディングオベーションが起きるというのは、稀である。
 昨夜のクラウス・マケラ指揮パリ管弦楽団のコンサート(サントリーホール)では、後半のベルリオーズ「幻想交響曲」の最後の音が鳴り終わるやいなや、1階の客席に座っていた人たちが「ウワーっ」と叫んで一斉に立ち上がった。まさに壮観だ。
 私は2階席の前に座っていたのだが、1階の聴衆は徐々に立ち上がるのではなく、ド〜っと一気に全員が立ち上がったのである。前半はサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付」が演奏されたが、このときも拍手が鳴りやまなかった。
 マケラは何度もステージに呼び戻され、アンコールにラヴェル「クープランの墓」より「リゴードン」、そして最後にビゼーの「カルメン」より序曲を演奏し、聴衆の熱気は最高潮に達した。
 いずれの演奏もパリ管との絆の強さを示す演奏で、とりわけ管楽器群のすばらしさが際立っていた。
 フランスは管楽器の演奏が抜きんでており、楽器の製造も盛んだが、パリ管も管楽器のメンバーが充実している。マケラはそれを意識してプログラムを組んでいるのだろうか。
 華があり、勢いがあり、スター性もあるマケラだが、以前オンラインインタビューしたときには、当意即妙。けっして自分が目立つことはせず、作品に寄り添うことをモットーとし、オーケストラのもてる最大限のものを引き出そうとしているようだったが、それでもすべての人の目を指揮姿に引き付けてしまう。
 この日は、熱い拍手だけではなく、ジャン、ジャンとみんなが手をそろえてたたく拍手も起き、マケラもオーケストラも笑顔でステージを去った。

 
 
posted by 伊熊よし子 at 14:43 | クラシックを愛す

阪田知樹

 デビュー当初から演奏を聴き、取材やインタビューを続けている阪田知樹が、2026年にリスト・コンクール優勝10周年、デビュー15周年を迎える。
 これに先駆け、今年後半はさまざまな演奏が組まれている。
 その話を聞きに、音楽之友社に出かけた。
 近年は演奏のみならず作曲、編曲、指揮の分野でも大忙し。1月にはオーケストラと自作の初演を行い、指揮も務めている。さらに4月にはカーキ・ソロムニシヴィリ指揮スロヴェニア・フィルとの共演で、ブラームスのピアノ協奏曲第1番を現地で演奏。11月28日にはこのコンビの来日公演で、ブラームスのピアノ協奏曲第1番、第2番を演奏する予定になっている。
 さらに映画の音楽も作曲、ピアノも担当した。
 そこでまず、スロヴェニアに行ったときの話からスタート。このオーケストラは歴史に名を残す巨匠が多くの指揮台に立ち、伝統を育んできたそうで、とても情熱的で前向きな音楽が印象的だったとか。コンサートは大成功で、「秋の共演がとても楽しみ」と目を輝かせる。
「スロヴェニアはとても町が美しく、食べ物もおいしく、治安もいい。人々がすごくおだやかで優しいんですよ」と、さまざまな魅力を語ってくれた。
 作曲は子どものころから行っているが、現在は映画音楽まで手がけ、「真夜中に書いている。ピアノの練習を終えてから、脳をクリアにし、そこから手書きで書いています」という。
 阪田さんと話すと、以前から話が止まらなくなるが、今日もまだまだ話し足りない感じだった。
 このインタビューは「音楽の友」9月号に掲載される予定である。
 今日の写真は、「曲を作るときは脳をいったん休ませ、曲作りのモードにしてから始めるため、時間がかかります。完全に昼夜逆転生活になっていますね」と話している様子。長い指を動かしながら一生懸命話してくれる。

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posted by 伊熊よし子 at 21:05 | マイ・フェイバリット・ピアニスト

夾竹桃

 原稿の締め切りに追われていると、ゆっくり花壇の水やりができず、つい放っておくようになってしまう。
 そのなかでも、けなげに花をつけているのが、ルーフバルコニーに植えてある夾竹桃(きょうちくとう)である。
 梅雨の合間のちょっとした晴れ間に、元気に花をつけ、青空に向かって「咲いたよー、見て見てー」といっているようにぐんぐん伸びているような感じ。
 これを見て、元気をもらった。ウーン、こんな過酷な状況でも、一生懸命にたくさん花をつけている。
 たいしたものだ、まったくたのもしい限り。
 私も心身が疲弊したなどといっていないで、頑張らなくっちゃ、という気持ちにさせられた。
 今日の写真は、満開の夾竹桃。ねっ、けなげでしょ。

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posted by 伊熊よし子 at 18:13 | 日々つづれ織り
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